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第976回 人口問題-新しい変化その1-

(2021年7月1日)

 2021年5月11日、第7回国勢調査の結果が国家統計局から発表されました。2020年11月1日時点の調査結果です。それによると、総人口は14億1,178万人で、その間の年平均増加率は0.53%、これは予測通りだったのでしょうか。2015年12月に「人口と計画出産法」が改定され、その第18条で二人っ子を認めること、少数民族にも計画出産を適用することが明記されました。2016年4月発表の人口は13億7,349万人、増加率は0.50%でしたが、国務院は二人っ子政策により、2020年には14億2千万人になり、2029年には14億5千万人になると推測しました。しかし、2020年の実数はそれを1千万人下回りました。       
 勿論、その間、二人っ子を奨励する政策が行われなかったわけではありません。二人っ子施行直後には、出産を奨励する様々な政策が講じられました。2017年前半には29の一級行政区で産児休暇が138~158日間に延長され、夫の育児休暇も15~30日間認められるようになりました。しかし、出産手当も含めた政策的保障は設けられても、一方で、雇用側の負担が増えることで、職場における女性差別が助長されかねない状況も発生し、また、家事・育児の負担が女性に偏重することで共稼ぎがしにくくなる状況も生まれ、二人目に慎重な風潮が生まれたのです。結果、2020年の出生数は前年比18%減で過去最高の下落となりました。
 一方、人口の高齢化はどんどん進んでいます。2020年、60歳以上の人口は2億6400万人と、全人口の18.7%に達しました。2015年は2億2182万人、2018年は2億4900万人でしたから、明らかに増加しています。地域格差もあり、上海市は早くも2015年に人口の3割が60歳以上と、高齢化社会に突入しました。中国では、2022年から、1962~1975年に生まれた第2次ベビーブーマーたちが続々と60歳を超え始めます。ということはこの傾向が2035年まで続くことになります。しかしその2035年こそ、習近平が、「社会主義現代化をほぼ完成する」とした目標年なのです。中国の労働力は既に2012年頃にルイス転換点を越え、年々減少しており、これをどう確保するかは、目標達成の成否を握ることになります。
 こうした状況を踏まえ、2019年11月、中共中央・国務院は、<人口高齢化に積極的に対応する国家中長期計画>を配布、2022年までの短期的計画、2035年までの中期的計画、2050年までの長期的計画を示した。

次回は7月8日更新予定 テーマは<人口問題-新しい変化その2->です。

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