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第977回 人口問題-新しい変化その2-

(2021年7月8日)

 上述の<人口高齢化に積極的に対応する国家中長期計画>によると、まず、2022年までに人口老齢化に積極的に対処する制度的枠組みをほぼ形作り、2035年までにはそれをより科学的合理的な配置に仕立て上げ、21世紀半ばには社会主義現代化強国に相応しい、完備され成熟した制度を構築する、としています。その具体的な内容は5つの部分から構成されています。即ち、①老齢化対応制度の財政基盤を確立すること ②人口老齢化状況における労働力の有効供給の確保(新生児の健康維持、新規労働力の質の向上、生涯学習の推進による人的資源の充実)③老人向けサービスの向上(医療と健康、長期介護、在宅介護と地域介護、老人向け物資の供給、介護の質の向上など)④老人介護へのスマート技術の応用 ⑤老人を大事にする社会環境の醸成(家庭のサポートシステム、老人に優しい社会)       
 高齢化社会の最大の焦点は社会保障の充実でしょう。社会年金については、個人負担・職場負担それぞれによる基礎年金と、同じく個人負担・職場負担それぞれの職業年金、また、個人としての老後対策が考えられます。また、医療保険制度も重要で、基本的医療は保障されなければなりませんが、その上に、目配りの聴いた様々な救済制度が整備されれば、老後の不安は大いに解消されます。ただ、これらの財源をどう確保するかは頭痛の種で、そのためにも、労働力確保との一石二鳥を狙って、女性の定年を男性のそれに近づけること、段階的に定年を延長することが積極的に語られています。
 第7回国勢調査の結果には他にも幾つかの注目すべき点がありますが、特に注目すべきは流動人口の問題です。人口の流動が長期化し、更にはそれが「家庭化」しつつあることは既に以前から取り上げられ、第13次5か年計画中には、流動人口も児童の予防接種など11種類の公共サービスを受けられるようにするという目標が掲げられていました。今回の調査で、流動人口は2016年の2.45億人から69.7%増え、3.76億人(省外への流動は1.25億人)に達しました。こうした流動人口も、最近の都市戸籍の取得緩和で、主に農村に近い中小都市での戸籍取得が進んでおり、徐々に定着が進んでいます。なお、二人っ子政策の効果が思ったほどではないものの、出生人口に占める二人目の占める割合は、2013年の30%から2017年には50%に達しており、今後のさらなる緩和の成り行きが注目されます。

次回は7月15日更新予定 テーマは<医療現場のイノベーション>です。

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