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第986回 最近の原発政策

(2021年9月9日)

 2014年に全人代政府工作報告で初めて原発の海外ビジネスが提起され、その後の首脳外交で鉄道と並ぶ項目としてしばしば取り上げられてきました。その中核となったのが第三代原発、CA1400と華竜1号で、2011年の福島原発事故の後、安全チェックのため、積極的な建設を控えていた中国は、以後の新規発電炉は第三代原子炉に限るとしました。2015年、華竜1号をパキスタンに輸出することになり、世界第4の原発単独輸出国になりました。その後、2016年に中国核工業集団と中国広核集団が共同出資で華竜国際原発技術会社を設立、華竜1号を原発海外ビジネスの中国ブランドとして推進することで合意しました。       
 華竜1号は、アメリカやフランスの加圧水型軽水炉(PWR)をベースに上述の2集団が開発したもので、炉心部には自主開発を進めたACP1000の技術を、補助系統には導入後国内で生産したAACPR1000の技術を多く使ったもので、国産化率は88%、耐用年限60年、炉心は177本、18カ月で燃料交換します。同系統の外国製に比べ20~30%安く、また、一基輸出するごとに、関連部品の輸出額は200億元に達すると試算され、また、国内に設置した場合には、その耐用期間に一基あたり2000億元の生産額を生み出し、15万人の雇用を創出するともいわれています。
 2021年1月30日、中国国内で最初に華竜1号の建設がスタートした福建省福清市の5号機がテスト運転を終え、商用運転に入りました。今後、福清6号機、広西チワン族自治区防城3.4号機をはじめとし、広東省や浙江省でも建設が計画されています。
 こうした動きの一方で、上述した核の安全に対する取り組みも積極的に進められています。2019年9月、国務院は<中国の核の安全>という白書を発表しました。その目次は、1.理性的にかつ協調し、共に歩む核の安全観を確立する 2.核の安全政策法規体系を構築する 3.科学的、効果的な安全上の監督管理を行う 4.ハイレベルの安全を確保する 5.ともに構築し、共に享受する安全上の雰囲気づくりをする 6.安全な運命共同体を造り上げる、となっていて、白書の表1では、中国のこれまでの原子力発展段階とその安全戦略を詳しくまとめています。この年の6月、中国では47基の原発が稼働しており、その数は世界第3位に達し、更に11台を建設中でした。安全はまさにその核心的課題と言えましょう。

次回は9月16日更新予定 テーマは<農村トピックス>です。

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