企業向け中国語研修をリードするGLOVA China

ビジネスコラム|現代中国放大鏡

トップ > 現代中国放大鏡

Last Update:

第987回 農村トピックス-その1-

(2021年9月16日)

 最近の農村に関する話題を幾つかピックアップしてみましょう。       
 2021年第一四半期、中国の農民一人当たりの可処分所得は5398元で、価格要素を排除しても実質16.3%増と順調な伸びを示しました。年間で見ると、2020年は17131元で、伸び率は11年連続して都市の住民を上回り、その収入格差は、2.56:1にまで縮小しました。2021年は習近平総書記が小康社会実現を約束した年ですから、ここ数年の政府の全面的政策サポートが奏功したとも言えましょう。
 農村政策の一つに金融支援が挙げられます。農業農村部は先頃、金融機関と連携して全国“三農”(農村・農業・農民)金融支援モデルとして「民間資本の農業・農村投資の手引き(2021年)」を発表、民間資本に、近代的栽培業・農産物加工流通業・農村新型サービス業など13の重点領域への投資を促し、新たな投資形式の創出、協力用プラットフォームの構築を提案しました。また、生産地における冷蔵施設の建設に力を入れ、昨年の全国16の一級行政区における試験的拠点整備に加え、2021年は中央政府が80億元を投入して本格的推進に舵を切りました。今後の重点投資項目になるでしょう。
 最近の人民日報で特に目立つのが、食糧の安全保障に関する記事です。耕地の確保は近年一貫したテーマですが、最近の特徴は“高標準農田”即ち、近代的農業生産方式と経営方式に合致した、災害に強く、安定して高い生産量が確保され、永久基本農地に指定される耕地の確保。政府は2020年までに8391万ムーの“高標準農田”を確保し、2021年中に1億ムー達成を目指しています。同時に政府は、従来の2395万ムーに加え、新たに1500万ムーの高効率節水灌漑達成も目論んでいます。一方で従来の田畑の劣化や回復にも力がそそがれ、北大倉と呼ばれる穀倉地帯、黒竜江省黒土層の劣化を保護すべく、6500万ムー以上に保護措置が施され、汚染耕地対策も5000万ムーで進められ、輪作や休耕田も4000万ムーで施行されました。“緑色栽培技術”も奨励されています。化学肥料・除草剤・防虫剤を減らし、緑肥・有機肥料・微生物菌の複合利用による「安全な食品」の生産が急速に広まり、2020年までに2.2万点の緑色・有機食品、地方特産品が認証を受け、2021年中に更に1万点認証される予定です。

次回は9月23日更新予定 テーマは<農村トピックス-その2->です。

バックナンバー一覧はこちら

三瀦先生のコラム