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第993回 産学協同の進展-その2-

(2021年10月28日)

 こういった動きに合わせ、各部門や地域で様々な動きが活発化しました。中国科学院は既に2016年3月末から<科学技術成果移転転化特別活動>をスタートさせ、その実施方案では5大方面5プロジェクトを設定、2020年にはその成果によって、企業に6000億元の新規販売収入を生み出すとし、初期の成果として、神華寧煤グループ年産400万トンの工業生産装置への石炭液化技術転化、色素増感太陽電池技術の一億元での譲渡などが実現しました。また、同院が音頭を取って、地方政府や企業と共同で、「人材+プロジェクト+資本+市場」という新起業モデルの形成に乗り出し、IoT、光学、医療機器、AIなどの分野ではインキュベーターの設置を進めました。       
 2017年6月、広東省の恵州で、初の高等教育機関科学技術成果交易会が開催され、300の大学が6600項目の新しい成果を展示し、3000社の企業や100社余りの投融資機関と提携しました。主にスマート装置、マイクロ電子、ビッグデータと通信、新素材、海洋科学、幹細胞、精密医療、省エネと新エネルギー、環境保護と資源の総合利用、AIの10分野が対象となっています。       
 “軍民融合”も同時に強力に進められています。“軍民融合”は双方向性であり、民間企業は武器装備科学研究生産許可証を持つ企業の3分の2以上を占めるに至っていますが、軍の持つ高い技術の民間への応用も進んでおり、航空産業や造船技術、ナビシステム、海洋プロジェクト、ネットセキュリティ、スマートシティなど、その応用範囲は急速に広まっています。またこれに合わせ、2017年から、軍と民間の基準の通用を図る取り組みも進められています。 こういった“軍民融合”の動きは特に2018年から非常に活発化しました。同年9月10日の人民日報は、四川省での“軍民融合”がいかにイノベーションの加速度をつけているかを詳細に紹介しています。     
 2019年7月、習近平は中央全面深化改革委員会を開き、<国家産学融合建設試験的実施プラン>を採択、今後5年で約50の産学融合型都市を建設し、全国に、一万社以上の産学融合型企業を育成し、これらを推進する政策体系を打ち建てる方針を示しました。都市を結節点に、産業を支点に、企業を重点にした新しい道筋がはっきり示され、動き出したのです。

次回は11月4日更新予定 テーマは<公共サービスの向上と問題>です。

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