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第994回 ここ2年の公共サービス

(2021年11月4日)

 ほぼ100号前の本コラム第892~3号(2019.11.7./11.14)で<民生の向上と公共サービスの改善>と題し、2015年までの第12次5カ年計画の総括として掲げられた民生十大項目(二人っ子許容政策、養老改革、最低生活保障、医療改革、教育の充実、戸籍制度改革、住宅保障、通信キャリア費用の減額、交通インフラ整備、行政手続きの改革)について紹介し、第13次5カ年計画の目標とその初期の成果について大まかに紹介しました。その後、2021年の小康社会の全面的達成へのプロセスでどんな取り組みがあったか、まずトピック的な話題を紹介し、その後、重要テーマについて個別に触れてみましょう。       
 2019年から2020年にかけ、中国は財政収入の増加速度がスローダウンした一方で、民生支出は増加傾向を持続しました。予算が大幅に増加したのは環境対策で、特に2019年は大気汚染対策が25%増、水汚染対策が45.3%増、土壌汚染対策が42.9%増と急激な伸びを示しました。また、貧困脱出扶助に関連し、2020年の貧困脱出扶助予算は1136億元に達し、国家的極貧地域と言われた“三区三州”(“三区”:チベット自治区・青海省・四川省・甘粛省・雲南省・新疆ウイグル自治区に属する三つの区と三つの州)には特に144億元を振り当てました。同時に、農村の生活向上に意が注がれ、技術の習得の手助け、宅配の普及、養老年金の受け取り、老人介護や子供の養育に対するサービスの向上が積極的に進められました。中でも宅配の農村への普及は、農民の生活向上という側面と国内消費の喚起という両側面で大きな意義があり、様々なサポートが図られました。江西省のある農村には、村民サービスステーションが設けられ、30㎡ほどの小さな小屋に養老年金受け取り、銀行のATM、宅配物受け取り、Eコマース購買取り扱いなど、10件ほどのサービス設備が設けられているとのこと。また、別の村では、住民が広範囲に点在しているため、宅配物の受け取りはわざわざ鎮にまで出かけなくてはなりませんでした。県は宅配運営五社と共同出資して物流サービス会社を立ち上げ、各社それぞれが保有していた人員・車・サービスショップを統合し、2500㎡の物流センターを建設して各社の物品の一括体制を構築しました。また、農村公共バスも宅配物を各村の総合サービスステーションに即時届けるようにしました。ここでも農村バスの全国的な普及が大きな役割を果たしたのです。

次回は11月11日更新予定 テーマは<住宅問題>です。

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