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第996回 住宅問題-その2-

(2021年11月18日)

 2021年9月1日の人民日報が<我が国は世界最大の住宅保障体制を築いた>という副題のついた記事を掲げました。テーマは<すべての人民に住居を>です。6中全会の開催を前に、<小康社会実現>の公約達成を誇示する意図も垣間見られます。その内容を覗いてみましょう。       
 この10年余り、中国では都市建設が急速に進み、2019年の都市のGDPは全国の90%を占め、2020年現在では常住人口の都市化率が63.89%、都市の数は687、都市面積は6.1万平方キロに達しました。都市化の内容もこれと並行して進められており、近年、特に注目すべきは、地下鉄も含めた都市の軌道交通が7597.9kmに達したことでしょう。また、水道とガスの普及率もそれぞれ99%、97.9%と先進国レベルに到達しています。都市生活のこういった基本的インフラが整備されると、これに加えて、都市の緑化や文化的充実も重視されるようになり、この面でも急速な変化が見られます。       
 その一方で、あまりに急速な都市化がもたらす問題も少なくなく、同記事では、地下空間利用問題、建設基準問題などが掲げられ、中でも、特に最近の気候変動による異常気象の影響で度々発生する都市における出水問題は待ったなしになっており、政府は、流域間の統一的防水システム、都市の排水システム、応急管理システムという三大システムの2025年同時完成に取り組む決意を表明しています。また、都市建設における住民の立ち退き問題なども依然としてやまず、政府はこのほど<都市改造実施における大規模な立ち退き建設問題を防止する通知>を発し、住民の意思を尊重し、付随する賃貸住宅の賃貸料の上昇を抑制する措置も打ち出しています。
 都市化の波の中で忘れられてはいけないのが農民であり、小康社会達成のためにも、農民を置き去りにするわけにはいきません。そこで政府は貧困脱出の重要措置として、近年農村の粗末な家屋の改造に取り組み、790万戸、2568万人の危険家屋を改修したのを始め、最低生活保障者や貧困障害者などの家庭1075万戸の家屋を修復、2341.6戸の貧困家庭の住居の安全に取り組んだ、とのことです。老朽家屋の改修は都市部でも急ピッチで、政府は、2025年までに、2000年以前に建設された古い団地21.9万個の改修を終える予定です。

次回は11月25日更新予定 テーマは<6中全会を巡って>です。

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