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第999回 6中全会「歴史決議」を巡って-その3-

(2021年12月16日)

 第四章は「18全大会以来」(即ち、習近平が総書記に選出された2012年党大会以来)という書き出しで、上述の先人の思想・業績を受け継ぎ、二つの百年目標(小康社会の建設と社会主義現代化強国の全面的な建設)と中華民族の偉大な復興(中国が人類に貢献する時代)をテーマに掲げています。その中で、従来の経済・政治・文化・社会の生態文明を建設の柱に加えるとともに、全面的な法治と共産党の綱紀粛正を強化して中国独自の法治体系の確立を目指すこと、経済の市場化や国内大循環を主とした国内外二つの循環の推進、軍の強化や中国独自の大国外交による新たな国際関係の推進を謳っています。       
 次の段落からは「習近平同志は」という書き出しでその業績を讃え、「習近平の新時代における中国独自の社会主義思想は、現代中国のマルクス主義であるとともに、21世紀のマルクス主義である」とし、「中華文化と中国精神の時代の精華であり、マルクス主義の中国化という飛躍を成し遂げた」と讃え、習近平を党の核心として位置づけています。
 経済改革と改革開放政策では、18期5中全会・19全大会・19期5中全会などでの功績として、供給側の改革、内需拡大の推進、貧困脱出、汚染対策を列挙するとともに、国有資本の堅持と非公有制経済の健全な成長のバランスを取ったこと、新たな挙国体制を敷いて科学技術の自立自強を目指し、基礎研究と知財権を強化したこと、供給側の構造改革を徹底するとともに、実体経済を育て、デジタル経済を発展させたこと、加えて経済の自主的マクロコントロールシステムの確立、積極的財政政策と穏健な通貨政策などを挙げました。また、食糧とエネルギーと産業チェーン・供給チェーンの安全保障と金融監督の強化、資本の無秩序な拡張と市場の独占の防止、中小零細企業の活性化なども書き込まれましたが、これらは見方を変えれば、どれもが今喫緊の課題であるともいえます。
 その他、地域発展について近年の巨大プロジェクトとして、京津冀協同発展・長江経済ベルト発展・粵港澳大湾区建設・長江デルタ一体化建設や黄河流域生態保護、雄安新区、西部大開発の新たな枠組み、新東北振興などが列挙されましたが、これらは全国主体機能区計画に基づく新たな地域発展計画の具体的な歩みを示すものでした。併せて都市化・都市計画の強化、農村振興戦略の実施、耕地確保など食糧政策の充実も成果として誇示されています。

次回は12月23日更新予定 テーマは<6中全会「歴史決議」を巡って-その4->です。

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