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Last Update:2018/7/5
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コラム 中国ビジネス噺

第1回 日中企業の社員評価について考える(1)

(2018年7月5日)

  人事の業務の中で社員の「評価」を行うことは日中問わず重要な業務です。何故重要な業務なのかまず「評価」の原点に立ち返って考えてみましょう。「評価」の目的とは何でしょう、評価することによって結果がプラスであってもマイナスであってもそれをインセンティブに繋げることに意味があります。
  では実際に日本の企業ではどの様に実施されているでしょうか。「公平な評価」を目指し多方面に考慮された評価制度を構築し、階層別に評価者を集め評価会議を重ねている会社が多いと思います。しかし結果として多く見られる現象は、評価基準はさて置き評価者の自己満足になるケースも多いようです。
  何故このような現象が起こるのでしょうか。一番大きな原因として考えられるのは評価期間の問題です。日本企業の評価の難しさには評価期間が長いことにあると思います。例えばボーナスの評価を見ても半年分の評価なので、月ごとの業績を見ればいい月もあればダメな月もあります。更に公平を期すために市場環境の有利不利を考慮しなければならない等多方面からの考慮を加えても、点数評価などに置き換えて結論が出るために内容が見えず、結果として被評価者には解り難いものとなっています。まして年一回の昇給評価に至っては1年間の総合評価となるため評価する側でも納得のいく評価が出来難い現実があります。従って結論を被評価者へ説明するのも難しいということになってしまいます。
  中国でこの日本式評価方法を取り入れたらどうでしょう。これは明らかに大クレームになることは間違いありません。「評価」というのは当然賃金に連動しますので、中国での評価は特にその理由が明確であることが重要です。ということは、機を待たずにタイムリーに評価することが一番分かりやすく理解しやすい方法ということになります。的確な評価は結果として有効な教育的指導になり、モチベーションのアップに繋がります。
  この違いは日本人と中国人の文化に起因するものと思いますが、日本人は概ね横並びであれば曖昧な結論でも受け入れてしまうのに対し、中国人は理由の説明が出来なければ納得しない傾向が強いのです。従って中国で評価する時のポイントは、プラス面では「具体的な貢献」「善行」など誰からも納得できる事実です。マイナス面では「罰則規定に当たる行為」「業務上の損失」など明確で本人も納得できる内容であることが重要です。
  この日中間の考え方の違いはビジネスの上で多方面に影響を及ぼします。次回も「評価」に関わる話の続きを書きたいと思います。

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