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(2019年9月12日)
中国と日本の企業における社員のモチベーションには基本的に大きな違いがあると思います。 前回書きましたように、日本では「就職」はほとんど「就社」の意味で、会社組織にすべて身を委ね、会社の指示に従って仕事が割り振られ、転勤したり場合によっては出向を命じられたりして、一旦会社という組織に入るとほとんど大きな疑問なく組織の色に染まるべく努力しているように見えます。 勿論最近の若い人たちの行動様式は以前のそれとはかなり違ってきたり、転職の機会も増えてきていることは大きな変化でしょう。 一方で、中国ではもともと企業と個人は対等という意識で行動することが基本であることを念頭に置くことがポイントです。 従って、中国における社員のモチベーションも自ずと日本とは異なってきます。 日本では多くの社員のモチベーションは社内での評価にあると思われます。つまり、同期の中の比較で役職に早くついたとか、早く希望の部署へ移った等、仕事のモチベーションは社内での処遇が大きいのです。 中国では自分がその会社でやりたい仕事が出来ているか、また、社内評価が自分で納得できているかという、あくまでも個人を基準としたものがモチベーションになっていると感じます。 さらに、周りの会社の同年代の待遇を見て、自分が損をしていないかなど、常に個人と企業を客観的に見て自分の価値が十分評価されて待遇に繋がっているかを見ています。 中国でのリテンションを考えるときには、個人の評価については本人へよく説明して納得を得ることが肝要であり、日本式の査定で良くも悪くも何の説明もしないような運用では本人から不信感を持たれたり、折角プラス評価しても説明がなければ本人のやる気に繋がらないことになります。 別の見方をすれば、日本企業の中での「人創り」というのは往々にしてその企業の中で通用する独特のノウハウである場合もあります。それが企業文化といえばその中に居続ければ十分に意味が有りますが、別の世界で通用するものとは限らないということです。 中国だけでなく、年功序列社会ではない世界では「会社」より「ジョブ」の意識が強いので「ジョブ」の為に「会社」を移ることはむしろプラスであり、その「ジョブ」が自分のキャリアパスで優位な経験になるかどうかが就職の判断基準になっていると感じます。
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