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(2019年11月14日)
中国に関連会社を持つ多くの日本企業は、ここ数年の中国の経済成長や労働環境の変化により企業の生き残りをかけた変革が求められています。 中国では直近7~8年で人件費の上昇は毎年10%近くになっており、上海、北京では日本の社員より人件費が高くなってしまうような現象も起きています。 企業の負担という意味では、賃金上昇に伴う社会保険料の負担も含まれていますので、上海、北京では賃金額の40%以上の社会保険料の負担となり、企業の毎年のコスト増でいえば日本の上昇率とは比較になりません。 このような中国での経営環境の大幅な変化は20年前の予想をはるかに上回るものであり、海外事業展開を進める企業のコスト競争力に大きな影響を与えております。 そこで各企業が考え始めているのが「現地化」です。 「現地化」というと単にコスト削減の為の手段と考え、日本人駐在員の数を減らすだけで片付けようとするケースが多いように見受けられます。 また、単に「現地化」を進めようと思ってもそう簡単にいくものではありません。現地会社のマネージメントそのものをどうしていくのかという、現地会社としてのビジョンを創ることがまず先決でしょう。 日本人駐在員が中心となって会社の設立を果たし、セールスネットワークを構築し、日系企業としてスタートするというプロセスを経た上でこの会社を現地化するには、現地社員との信頼関係をベースに進める意味で、立ち上げた駐在員が率先して現地企業の現地化に着手する必要があります。 更にポイントとなるのは、日本本社との温度差をなくすことです。日本本社としても中国現地会社のマネージメントをどのように変えていくのかを明確に定め、現地会社との意識を共有していく必要があります。 日本本社との意思疎通が重要である最大の理由は、現地化を実施するには「権限移譲」を伴わなくては成功しないからです。 現地会社の「管理」「コンプライアンス」「調達」「営業」等々、多岐にわたり現地のハンドリングをどこまで委譲するかを決めて、本社側で誰が窓口となるか明確にする必要があります。
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