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(2020年1月9日)
中国会社の現地化の狙いは何でしょう。 賃金や生産コストのメリットを生かすことを目的とした時代はとうに終わっていますので、これからは現地会社が自立して生産性をより一層向上させ、現地での競争力を高めることが現地化の目的となるでしょう。 このためには、現地での商習慣や人事政策に精通した現地人材を育てて権限を委譲していくことが必要不可欠となります。 現地のトップだけでなく、各部門の責任者を誰にするかという問題は一朝一夕にはいきません。特に中国文化の中でこのような人材を育て引き上げていく為には、ゆっくり時間をかけて、従業員全体の納得が得られるような仕組みつくりとキャリアプロセスを踏む必要があります。 周りの理解を得られないまま、日本サイドの都合でトップを決めたり、突然ジャンプアップした人事を行ったりすると「日本人贔屓」とみられ、そのようなトップが組織を統率することは難しいでしょう。 制度の構築や人事については必ず中国人幹部や工会幹部をスタッフに入れ、むしろ中国人幹部の総意で決定するプロセスにすることも必要でしょう。 一方で、日本側、特に日本本社の理解はどうでしょうか。 日本人駐在員がいる場合は、本社籍ということで常に日本側からの目線になることから、本社からはそれなりに安心感もあり、悪い情報も入ってくるものです。 従って、日本人駐在員への信頼感の上に本社の姿勢はどちらかというと受け身の経営になっている場合が大部分ではないでしょうか。 現在は多くの日系企業の海外小会社管理は、本社からの指示を現地が受け取って処理するという「内部統制型」の管理手法になっていると言えます。 今後現地会社に広く権限を委譲し現地の独立性を高めていく場合「ガバナンス」をどう効かせていくかがポイントとなります。 「ガバナンス」を効かせるといっても、具体的に実効のある制度を入れることは簡単ではありません。 特に中国ではこの意識が日本とは違っているのも事実です。日本社会は「性善説」をベースに物事を判断しがちですが、中国ではこれが落とし穴になることも多いのです。 契約一つとっても「このようなことまでは規定しなくても常識内」と判断して決めなかったことが命取りになることもあるので要注意です。
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