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(2018年8月2日)
前回、中国での社員評価は「明確な理由」「タイムリーな評価」がポイントであることを書きました。 次に評価結果をきちんと伝えることが評価の意味が有るか無いかの重要なポイントになります。残念ながら日本ではここがきっちりできている会社は少ないように思います。また、評価のタイミングが賞与で半年、昇給で1年という比較的長い期間を対象とすることから評価の内容が大雑把なものになり結果インセンティブに繋がり難いのが現実です。 中国企業の例を見てみましょう。有名なハイアールの工場では上長が常に巡回して業務を見ながら効率の良し悪しやミスを見つけて一人一人に「ニコニコマーク」「普通マーク」「泣きマーク」を付けていきます。1ヶ月で集計して毎月の給与に反映していきます。中国の企業ではこの様に毎月の給与に業務効率のいい人にはプラス、ミスのあった人にはマイナスという様にタイムリーな評価をしている企業が多いのです。更にその評価が本人の納得がいかないような場合、直ぐに上長のところへ確認に行きますので、上長も必然的にきちんとした理由なく評価することはできません。評価を不服として上長の自宅に怒鳴り込んだり、脅迫まがいの嫌がらせをするという事件も決して少なくありません。 中国では企業の社員教育で、ミスは見逃さずきちんと評価に反映させないと「見つからなければ大丈夫」という本人だけでなく周りの人への悪影響につながります。また逆に、プラス評価を怠ると「やってもやらなくても同じ」という風潮に繋がります。ペナルティは会社で決められた規則に則り本人に認識させること、また、貢献に対しては正当かつ迅速に評価することが「やる気」と「信頼」に繋がるのです。 このように「信賞必罰」が有効に機能するためには普段のコミュニケーションがうまく取れていることが大前提です。以前の中国国営企業では一般的に「減点主義」で評価することが多かった為、「罰則があるからやらない」という理解になってしまい、「何故やってはいけないか」という本質論が置き去りになっていることが多く見受けられました。問題が生じたときには原因究明を行い再発防止体制をとることが問題を教訓として次に生かせることに繋がりますが、減点主義で対象者を罰することが目的になっていたのでは、再度同じことが起きても不思議ではないのです。 我々が中国でビジネスをする場合、このような国営企業で育った従業員も少なくありません。日中文化の良いところをミックスして迅速にかつ人間味を持った対応によって、ベテランから若手まで皆さんとの良いコミュニケーションが得られると思います。
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