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「新型コロナウイルス」の先行きが見えない状況が続いています。 中国をはじめ海外で事業展開している企業にとりまして一番重要なのはサプライチェーンの維持でしょう。 日本の製造業は生産拠点を海外に移転したり、海外の市場を視野に入れた生産システムに舵を切ったり、今や海外の事業展開が経営の大きな部分を占めています。 海外に生産拠点を持たない企業でもサプライチェーンは海外の影響をかなり受けているのが現状であり、販売やサービスへも大きな影響を受けつつあります。 今回の「新型コロナウイルス」で経済への影響の大きさが改めて浮き彫りになったということで、事前に予測が出来ていなかったことが残念です。 これまでリスク管理としては「BCP」(Business continuity planning)や「BCRP」(Business Continuity & Resiliency Planning)の策定等災害や事故に対するマニュアルを準備してきてはいますが、今回のような全世界に同時に影響を与えるような事態に対処できる状況ではありません。 そして、想定外だったことは、全世界の人の移動に制限がかかってきているということです。 事業継続の旗を振ったり、現地の指揮を取る人材の派遣を自由に行えないことは、精神的にも現実の業務の面でも大きなネックになるでしょう。 前々回までこのコラムで「現地化」についてコメントしてきましたが、まさにこのような事態に頼りになるのが現地のスタッフということになります。 日系企業の海外子会社管理は往々にして日本の本社主導で、日本型の海外版会社をイメージしてしまいがちなので、現地の会社が日本の制度や日本本社のしきたりに合わせることを重視し、それを徹底させるために日本人駐在員を重要な部署に配置してきた経緯があります。 しかし、今回のような予想もしないリスクに直面した場合どうでしょうか、現地では現地国の対応がまちまちであること、この中でタイムリーに現地政府と情報を交換して従業員の安全やサプライチェーンの調整に当たらなくてはなりません。 人の移動がままならないという今回の想定外のリスクにおいて、企業を守っていく為には、国を超えてそれぞれの持ち場の責任者が現地の状況に応じて対応してゆくことがポイントであり、このための権限移譲や日ごろのマネージメントが効いてくると感じています。
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