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Last Update:2020/9/17
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コラム 中国ビジネス噺

第26回 中国における組織マネージメント(4)

(2020年9月17日)

  コロナ禍での中国ビジネスを考える時「権限移譲」を前提とした「現地化政策」を推進することが一つの方策と考えますが、その前提として「コンプライアンス順守」をどのように浸透させるかがまず超える課題であると思います。
コロナ禍での事業のやり方は、日中間の行き来が頻繁に行えないことから、会議等はリモートにならざるを得ず、現地を定期的に直接監査するような抑止力を発揮して管理することが難しくなります。
最近は監視カメラの技術は飛躍的に向上しており、各拠点の隅々までリモートでチェックすることが出来ます。皆さんご承知の通り、中国では街中に監視カメラが溢れている状況であることもこの表れであると思います。
しかし、このような監視の技術は抑止力にはなりますが、そもそも不正行為をおこさせない企業風土の醸成こそが健全な企業文化に繋がると思います。
中国は罰則文化が根本にありますので、企業の秩序は「規則違反には罰則で対応」というのが従業員には解り易い管理方法であったと思います。
ある会社で、正門の前の芝生のエリアに従業員が休み時間に入って食事をしたりしていましたが、お客様の入る正面のエントランスなので今後芝生には立ち入らないことを決定しました。
次の朝会社へ行ってみると芝生の真ん中に「立ち入り禁止!立ち入った場合罰金」という看板が立っていました。この看板の方がお客様に恥ずかしいと思い責任者に尋ねたところ、社内会議で皆の意見で決まったとのことです。
この例一つを考えてみても、従業員に徹底させるべきは、なぜ入ってはいけないかということをきちんと理解させることであり、罰金を取られるから入らないという理解ではありません。
このような本筋の理解がないまま規則によって行動を制限すると、結果として、看板のないところへは依然として入っていくというのが中国文化のようです。
本来の目的をこのような誤った方法で解決しようとすると、他の問題に対しても依然として同じような発想で対処する習慣が改善されないままになってしまうことが大きな問題と言えるでしょう。
監視カメラ等、人の出入りが出来ないという状況を補う目的で活用することは一定の効果がある方法ですが、行動を監視することが目的であるような理解になると、これが疑心暗鬼に繋がったり、信頼関係を損なう方向に向かう可能性が大いに危惧されます。
趣旨の正しい理解と、前向きな活用につながるように工夫することが肝要ではないでしょうか。

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