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Last Update:2020/10/9
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コラム 中国ビジネス噺

第27回 中国における組織マネージメント(5)

(2020年10月9日)

  コロナ禍での中国ビジネスを考えてきましたが、ここへきて日本と海外との往来がビジネスを中心として再開される目処がたって参りました。
この半年の間に企業はこれまで考えてこなかった様々な課題に取り組まざるを得ない状況に直面してきました
国内では、事業の縮小やそれの伴う人員の配置替え、残念ながらリストラという選択をするケースも多々見られます。
中国においても同じような対応をせざるを得ない状況になっているケースについて、具体的な方法を考えなくてはならないと思います。
日本国内の企業において、多くは長年の慣例から従業員との間に終身雇用を前提とした考え方がベースにあり、就業している間は「転勤」「職務の異動」について会社に権限があり、自由に配置換えをすることが出来る為、海外においてもつい会社の方針で配置換えを行うことが出来ると思いがちですが、国によって法律が異なり、また就業に対する考え方も異なる為注意が必要です。
中国では、「労働契約書」や「就業規則」で予め「業務の都合により使用者は配置転換を命じることが出来る」といった配置転換条項を規定しておくことがポイントです。
しかし、このような規定があるからといって従業員を自由に配置転換できるわけではありません。その配置転換が合法、有効であると認められるには、配置転換の必要性と合理性が必要です。
具体的に配置転換の合理性をどのように判断するかは、配置転換先の業務内容が本人の能力等に照らして適切であるか。配置転換後の労働条件面で不利益がないか。配置転換の本人への説明が適切であったかという要素がその基準となります。
それでは、今回のようなコロナ禍で企業の業績減による生産調整や、拠点の見直しなどによる配置転換のケースはどうかというと、「使用者の生産経営状況に基づいて会社が労働者の職務を変更することが出来る」という旨の約定を労使間で結ぶことは可能であるという、北京市の労働仲裁案件の事例があります。
実際には、使用者側が「生産経営状況に変化が生じたこと」を証明できる場合、職務調整が合理的な範囲内である限り、職務調整は可能であると考えられます。
ただし、中国での実情を見ますと、労働者がこの配置転換に納得せず同意が得られないケースが多々あるのが実態です。
ここは日本とは就労に対する考え方が異なる為、日本の常識では動かないことを念頭に置いておく必要があります。
解決策としては、対象者の間で不公平が生まれないように充分配慮することや、工会を同席した説明会を実施するなどの配慮を行い、当事者からの同意を取ることがポイントで、その後のトラブル防止に役立つと思います。

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