★バックナンバー一覧
(2020年11月19日)
コロナ禍での中国ビジネスを今後どのように考えていくかについては、業種や現在のサプライチェーンの状況、また日本サイドの業績等、様々な条件を考慮していかなければならず、日本企業の中でも足並みはバラバラになっていかざるを得ない現状にあります。 この半年の間に企業はこれまで考えてこなかった様々な課題に取り組まざるを得ない状況に直面してきました。 従来は中国に進出した日本企業の間では、同業種での交流会や、企業グループ内での情報交換会等が盛んに行われてまいりましたが、コロナ禍の中では同じ業種の中や企業グループ内でも企業の実態は全く異なってきております。 当に各企業の置かれた状況で、中国を将来の市場としてどう見るかが今後の行動の指針になると思われます。 前回は、このような状況下で事業の再構築をしていく上で、人事の角度での問題意識として、従業員の再配置についてコメントしましたが、不幸にして事業所を閉鎖する等、従業員を解雇せざるを得ない状況に至るケースも出てきているようです。 従業員の解雇事由としては、3つの規定があります。 「普通解雇」「即時解雇」「整理解雇」ですが、コロナ禍での業績悪化による人員整理という問題について「整理解雇」について考えます。 「整理解雇」については、事由が「企業破産法の規定によって企業再生を行う場合」「生産経営に重大な困難が生じた場合」「生産転換、重大な技術革新又は経営方式に調整があり、労働契約変更後においてなお人員削減が必要である場合」「その他の労働契約締結時に依拠した客観的な経営状況に重大な変化が起こり、労働契約の履行が不可能となった場合」の内の1つに該当すること。 また、この際に20人以上または企業労働者総数の10%以上の労働者を削減する必要がある場合という規定となっています。 実際に企業が規定に従って従業員の解雇を行う場合には、以上の規定に従うことを前提に、該当する解雇事由を証明する証拠となるものを準備する必要があります。 また具体的な手続きとしては、30日前までに工会又は全従業員に対して状況を説明し意見を聴取する必要があります。 しかし、いきなりこのような行動を取ると混乱を招くことは必至ですので、工会の幹部や会社の中国人幹部を計画の最初から巻き込むことがポイントでしょう。 経営の危機は、会社と従業員全体の問題であるということを中国人幹部に充分認識してもらうことが肝要であり、工会と中国人幹部が中心となってリストラ計画に関わるような仕組みで進めることが出来れば、混乱を最小に収めることが出来るでしょう。 最終的には政府の労働行政部門へ報告義務がありますので、ここも中国人幹部を前面に立てることは効果的だと思われます。
※サイトの記事の無断転用等を禁じます。