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(2021年3月11日)
中国に赴任された方からよく聞くのは「中国人スタッフは注意しても謝らないんだよ。間違ったことを理解していないのかな?」というような言葉です。 これは日本と中国の文化の相違による行動の違いに起因するようです。つまり日本では「謝罪」は「終了」を意味します。お詫びすることで過ちを認め、相手もそれを受け入れるという流れがお互いの頭の中にあるので、謝罪することで一件落着するのが日本文化といえるでしょう。 一方中国では「謝罪」は「賠償の始まり」という意味にとらえています。過ちを認めることは発生した問題の賠償責任を認めることになるので、何かと言い訳を並べて自分に責任が存在しないことを主張するという行動に出るようです。 「謝らないから悪いと思っていないんだ」というより「間違いがあったからこそ言い訳訳を並べている」ということになります。 業務上のミスは誰にでもつきものですので、日本企業では多少のミスには寛大ですが、中国企業では往々にして勤務評定に影響して、何らかのペナルティが与えられることも多く、これを回避したいという思いがこのような言動を起こさせると思うと理解できる気がしますね。 一般的に中国の若者にはある特徴があると言われています。 所謂「80后(パーリンホウ)世代」「90后(ジュ―リンホウ)世代」というものです。 文革(1966年~1976年)以降の一人っ子政策(1979年~2016年)で生まれ育った世代をさす言葉ですが、文革以前の兄弟姉妹の多くいた時代とは異なる特徴を意味します。 「80后(パーリンホウ)世代」とは1980年代生まれの人で、この時代の特徴は、市場経済時代の中で祖父母両親からの寵愛を受け、一人の子供は6人の期待を一身に背負うという、手厚い保護の一方大きなプレッシャーの中で生きているという訳です。「小皇帝」とも言われています。 この年代も現在は30才~40才になり、社会や企業の中心的な役割を担ってきています。小さい時から教育にお金をかけて育てられ、将来の「成功」を求めて「権力」や「地位」を目標として上を目指してきた年代といえるでしょう。 「90后(ジュ―リンホウ)世代」は更に中国の経済力が増大し、GDP世界第二位になった世代で、親にもある程度の財力がある豊かな時代に育った世代です。現在では20才~30才になる年代で、世の中はIT時代、海外留学をはじめ海外で働く人も多く、どちらかというと「自分らしさ」とか「人生の幸福」を求めたり、人生の目的が多様化しているという特徴もあるようです。 中国は2016年以降一人っ子政策は終了しましたが、それまで35年ほどは一人っ子の社会であったことは彼らの人生観にも大きな影響を与えていることは間違いないでしょう。 この世代の方々は、一組の夫婦で少なくとも双方の両親4人の老後を見るというのが現実になってきています。このことが彼らの働き方にも影響を与えることになると思われます。一人っ子政策は終わったものの、中国の経済は大きく変わりました。経済発展に乗じて物価の高騰が起き、貧富の格差が広がっている現状、子供の教育費や将来の住宅事情を考えた時には結果的に一人っ子の家庭が多いのが現状のようです。
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