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(2022年5月19日)
中国ではゼロコロナ対策の為、日本からの駐在員も日常生活にかなり不便を強いられているようです。かつての後輩たちも現在中国各地に駐在していますが、家族を日本へ帰国させて単身で戻ってきた人もいます。リスクを察知して事前に手を打っていたという事でしょう。また、地域によっても政府の対応が異なるようで、会社としては地域の情勢に対応して個別にフォローしていく必要があるという状態のようで、駐在員個別の状況の把握が企業の大きな課題のようです。 日本でも最近では海外のリスク対応を行っている企業が増えておりますが、皆さんの会社ではいかがでしょうか。これを機会に対応を検討することは中国に限らず、海外事業の今後に向けての必要性が現実味を帯びてきたように感じます。リスク対応の相手はコロナだけでなくかなり多岐にわたります。勿論コロナだけをとっても感染に対応する側面と隔離や生活制限に対する備え、また、企業活動をどのようにコントロールしてお客様への影響を最小限に止めるかを事前にシミュレーションしておくことが必要になるでしょう。更に今回のソビエトとウクライナのような問題が今後どこで起きるかわからないことから、BCPの観点で行動計画を幾つか決めておく必要もあるのではないでしょうか。 BCP(Business Continuity Planning)事業継続計画の策定から、BCM(Business Continuity Management)事業継続の導入・運用へのマネージメントについては、2011.3.11の東日本大震災の後、その必要性がクローズアップされ、各企業で策定が進められた経緯があります。この策定の目的は多くが災害に対するリスクとそれに対する行動や組織づくり、対応策の優先順位等を決めたものですが、海外拠点を多く持っていたり、製品や部品の輸出入案件が多い企業では、海外でのテロや誘拐等への対応も視野に入れています。これは当時発生した日揮事件のようなテロ事件に対応するものでしたが、日本企業にとってテロや戦争というような事件は実感として肌で感じられるものではなく、机上での対応策や専門家を招いての講習会でのシミュレーションはできるものの、今回のようなコロナという、いわゆる災害によるリスクと、ウクライナ問題のような戦争による経済活動への影響に対しては果たしてどこまでBCPがフィットしていたか改めて根本から考え直す必要性を実感しています。 中国でのリスク管理という問題は、国情の違いを加味した予測を立てる必要がありますが、今回のようなコロナ対応を検討の参考にして、今後の中国リスクに備えるBCPの策定と従業員や家族に対する安全確保と事業活動に与える損失を最低限に抑える対応策を準備することがまさに現実味を帯びて我々の課題になっていると思います。勿論日本人だけでなく、一緒に働く中国現地の社員の皆さんの安全と生活を守ることへも同時に対応する必要がありますので、以前検討した範囲を超えた考え方の変更がポイントになるでしょう。グローバルなリスクが本当に身近に迫っていることを実感します。
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