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(2018年11月14日)
中国での社員評価には「信賞必罰」がポイントであることと、この為には普段のコミュニケーションが不可欠であることを前回書きました。 今回は私が実際に評価で失敗した例をご紹介します。 ある年の年末ボーナス、所謂「紅包」の査定を行った時のことです。年末ボーナスですので査定の基準は1年間の「顕著な貢献」「将来性」というようなやや大きな指標で評価します。 評価に当たって一般社員は数百名と人数も多く、日常業務については部長クラスでは把握できていないことから、評価は課長と主任に任せて実施しました。 査定の結果工会に苦情が相次ぎました。苦情の内容は、査定した課長・主任と関係の良い人ばかりが良い査定を受けているというのです。これはありがちなことでした。工会主席から話を聞いて「しまった!」という思いでした。査定を通じて「派閥」ができてしまったのです。 解決策として次年度は、査定対象は主任以上の管理職として、一般社員は査から外しました。その理由は、一般社員は業務の上では上長の指示に従って業務を全うすればその責任は果たされています。部署ごとの業績責任はすべて主任以上の管理職にあるということから、この点を査定の面で明確にした訳です。 主任以上の管理職に対しましてはその年1年間の業務の貢献度、増産体制への対応や業務効率向上への貢献等のプラス面、また品質問題や事故等のマイナス面について部下のプラス・マイナス貢献もすべて上長の責任として評価することとしました。 勿論、この改定に当たっては工会主席、中国人幹部を中心に策定してもらいました。 査定を通じて感じることは、中国では日本に比べて査定結果にはかなり敏感だと言うことです。このことは決して悪いことではなく、むしろ良いことだと考えることが出来ます。つまり、人を評価するには制度も含めて慎重に検討すること、また設定に当たっては中国人幹部を中心に実施することがポイントであり、このような過程を通じて中国人幹部に対する良い訓練になります。そして何といっても評価することにかなり効果があるということです。評価が上からの一方的なレッテルにならず、プラス評価をプラスのモチベーションにつなげること、マイナス評価を前向きな改善につなげるように誘導していくことが日本人管理職の役割ではないでしょうか。
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