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(2022年10月13日)
世界的にコロナへの対策が緩和され、出張や旅行での行き来も便利になってきました。ようやくコロナの出口が見えてきた感がありますが、中国に関しては「ゼロコロナ対策」の下で相変わらず規制が敷かれているのが現状です。 目下のところ上海では三日に1回のPCR検査が義務つけられており、陰性証明をスマホで証明しないと交通機関や商店、会社の出入りも出来ない状況になっています。至る所に無料の検査場が設けられているようで、費用は掛からないようですが他の地域ではそれぞれのコロナ発生状況で対応が異なるため事前に調べておく必要があります。 コロナ禍で中国の大学卒業者の就職が大変厳しい状況であることが分かりました。中国では入学が9月、卒業は7月なので、今年も既に大学卒業者の就職が始まっていますがコロナ禍で求人が減少し、史上最悪の就職環境と言われています。近年、就職先人気トップは、安定志向から公務員や国有企業、次いで処遇面で外資企業が続いている状況ですが、コロナ禍と近年中国政府が推進している国産化の影響から外資企業の業績は停滞状況が続いており、人気も以前に比べると落ちてきているのが現状のようです。 このような時代に日系企業の中国での人材確保にはどのような影響があるでしょうか。今年大学を卒業する年代は所謂「95后」と言われるジェネレーションで、高度成長期に生まれた人たちです。IT時代の真っただ中で育ち、かつ一人っ子政策もあり、親の資産は全て子供に向けられるといった幸福な子供時代を送った世代と言われています。そんな彼らはどのような人生観を持っているのかと言えば、以前の「成功」「地位」を重視する時代から「人生の幸福」を求める傾向に変わっているといわれており、あくせく働くより趣味などを中心とした生活を求める傾向が強いといわれています。従って就職についても、「起業」や「海外進出」を目指す人も多く、親の資産等で「投資」に向かう人等がトレンドになっているようです。 このような環境の中で日系企業が優秀な人材を確保するのは就職難とはいえ有利とはいえないでしょう。前述の通り、中国が国産化に向かっているため外資企業への関心が以前より低くっている上に、これまで外資の魅力であった待遇や海外勤務のチャンス等も、中国企業でも同等の処遇が期待出来ることから外資企業の競争力は弱まっています。特に日系企業が人材を採用する上で、日本式の給与ルールや、昇給昇格ルールをそのまま適用するのでは中国の現状には合わないでしょう。また、リテンションについても元々日本よりも人の移動がかなり自由な環境にある上、前よりも起業意識が強い若者は外資企業を足掛かりにして1~2年で次のステップへ移るという事はごく普通に行われています。 日本企業も日本の常識とは切り離して中途採用やポスト給与の導入等、中国の環境に合わせた人事施策をスピーディーに進めることが必要でしょう。
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