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(2022年11月10日)
コロナ禍の中、今年は日中国交正常化50周年に当たります。11月1日には在中国日本大使館で記念式典が行われたそうです。また、4日にはコロナ禍の規制厳しい中で、ニトリが北京豊台イオン店に新店舗を開業し在中国日本大使が開業式に出席されたというニュースが入ってきました。 ゼロコロナ政策を取っている中国は、全世界がウィズコロナ路線を取っている中で最も厳しい規制が行われていますが、コロナ後の経済回復を見込んで事業拡大する企業もあることは注目に値します。しかし依然として一般の人が中国に入国する際にはVISAが必要で、取得には勿論ワクチン接種証明も必須です。入国後の隔離も7日+健康観察3日という事で、同じように厳しく規制していた台湾が隔離解除したことと比べると依然としてハードルが高い状況です。 前回、厳しい規制が続く中での若者の就職難のお話をしましたが、一方では人が辞めて困るという状況が出ているところがあります。それはある日系企業での話です。勿論コロナの影響で材料の供給がままならず、生産調整を余儀なくされている状況でのことですが、会社としては世の中就職難なのでできるだけ雇用を守っていこうと考えていた矢先、複数の部署で立て続けに数名の中国人若手社員が辞めるという状況が起こりました。この状況に日本人の人事担当者は日本では考えられないと驚いたという事です。この様な現象は日本ではあまり想像できないことですが、中国ではコロナ禍という事とは関係なく日常的に起こることです。つまり、中国と日本の就職意識の違いが現在のようなコロナ禍の就職難の場でも簡単に会社を辞めてしまうような状況を生んでいるという事だと思います。日本社会の「就職」とは、実態は「就社」ということであり、これまでの日本人としては仕事上の常識と言えると思いますが、中国だけでなく日本以外の国ではこの常識は一般的ではないのが現実です。 日本での就職というと一般的に「新卒」がスタートで、卒業を迎えた学生は将来の為に少しでも良い就職先を見つけるために奔走するというのが普通です。この為に指針として就職協定が定められ過当な競争を防ぐ措置なども取られていましたが、最近では日本でも新卒で入った会社で定年まで勤めるというよりは、キャリアアップを求めて仕事を変えるという意識が高くなっています。企業側でも「中途採用」と言ってきたのを「経験者採用」「通年採用」等呼び方を変えると同時にキャリアパスの為に転職の概念も変わってきているのが現状です。 一方で、中国や欧米の就職事情を見ますと、従来から所謂「経験者採用」が一般的であり、何の経験も無い「新卒」はむしろ後回しにされるので、学校を卒業した後はスキルを身に着けるためにいろいろな経験を積むことが必須になります。こうして自身のキャリアパスの為に様々な経験をするのが当たり前という事であれば、どんな状況でも自身のキャリアパスに合わない場所にとどまることはむしろ時間の無駄と考え、さっさと切り替えるという判断はむしろ自然なことでしょう。 就職難というと日本では「買い手市場」などといわれますが、中国では環境に関わらず人事を考えていくことがポイントでしょう。
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