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Last Update:2022/12/9
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コラム 中国ビジネス噺

第53回 これから中国へ赴任される方へ(25)

(2022年12月9日)

   ゼロコロナ対策を推進する中国でも、このところやや緩和する動きが出てきたようで、経済界にとっても良いニュースだと思います。
 現状、コロナの影響を受けている業界は多く、今年に入ってゼロコロナ対策による外出制限等の影響で、日系自動車業界は売り上げが対前年比大幅減となり、40%以上落ち込んでいるメーカーもあります。このような状況下、日系企業の現地従業員の退職が増えているいるという声をよく聞くようになりました。コロナの影響ももちろんありますが、中国全体が就職難という環境の中で離職が多いという現象には別の要因も考えられると思います。
 社員のリテンションについては、日系企業の間で以前から話題にあがる問題です。現地の人が日系企業に就職を希望する理由を整理してみると;
 ① 日本語を話すことが出来る
 ② 周りの企業より給料が高い
 ③ 福利厚生が充実している
 ④ 他企業にはない勉強ができる(日本での仕事等)
 ⑤ 専門スキルを向上できる
 以上のような理由が挙がりますが、日系企業のアンケート結果によると応募理由の上位は③④であり、いわゆる「発展空間」と言われる外資企業に対する期待が大きなモチベーションになっているようです。
 逆に一番多い退職理由は「人間関係」「職場環境」の悪化です。つまり、期待した仕事につけない、職場での人間関係に問題がある、といった場合に退職に向かう傾向にあります。これを防ぐ方法はいくつか考えられますが;
 ① 「日本人の為の会社」という意識を持たれないようにする。日系企業ではとかく日本人だけが情報を独占し、中国人にオープンにしないというケースが見られます。積極的に情報をオープンにして、仕事の意味合いを認識してもらい、日中平等に働く姿勢を持ち、仲間意識を醸成することが大切です。
 ② 定期的に面談をして将来やりたい仕事や同僚との関係性を確認する。
 ③ 積極的に会話してコミュニケーションを図る。このような行動をとることで、お互いの信頼関係を作り、会社が必要としているというメッセージを伝えることができます。
 日本の会社では入社後の配属や異動などは、本人の希望よりも会社のニーズが優先される「社命による異動」が普通ですが、中国では元々“就社”ではなく“就職”という意識なので、希望の仕事やキャリアパスを明確に持つ人が多く、希望通りになる見通しが無いと見切りを付けて転職に向かいます。
 また、中国人は会社も生活の一部という位置付けなので、職場でも楽しく過ごしたいという気持ちが強く、「会社は仕事(だけ)をするところ」という割り切りでは、なんの遊び心もない会社、となり、魅力を感じないでしょう。
 コロナ禍の現在はなかなかままならないですが、終息後は食事会など積極的に中国人社員とのコミュニケーションを図る機会を設けることが有効な手段だと思います。

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