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Last Update:2023/2/9
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コラム 中国ビジネス噺

第55回 これから中国へ赴任される方へ(27)

(2023年2月9日)

   中国では春節休暇が明けました。人出もコロナ前の9割弱まで戻り、ようやくいつもの春節が戻ってきた感があります。
 中国の正月は家族団らんで過ごし、お年玉をあげるというのは日本とほとんど一緒ですが、お年玉は「紅包」という赤い袋に入れて渡すのが本来の習慣です。企業でも年末のボーナスを「紅包」と言い、以前は米やニワトリなど現物で支給していたものが、ボーナスとして現金を渡すように変化しました。最近では「紅包」もWeChat等の電子データで贈ることが主流になっており、日本よりも電子化が進んでます。
 また、中国独自の習慣では正月15日を元宵節と呼び、旧暦新年の最初の満月に当たることから「元宵」という団子を食べてお祝いします。「元宵節」(今年は2月5日)を以てようやく正月が終了するという事になりますので、ここまでが正月気分、ここからが新年の活動開始という事になります。
 一方、日本との往来については日本側の入国条件等によりビザ発給がストップしていましたが、日本とのビジネスを重視して1月29日からビザの発給が再開され、3年ぶりに制限のない中国との往来が出来るようになりました。中国国内でもコロナ禍による消費行動や生産活動の物流がかなり影響を受け、企業に大きな打撃を与えました。業績の悪化で従業員を解雇せざるを得なかった企業もあり、これから人・物・金の調達を再構築する企業もあると思います。
 さて、コロナで失った人材を補充するにはどのような方法があるでしょうか。中国の人材市場は日本に比べて流動性が高いという特徴があります。もともと「終身雇用」という概念が無いので、一時解雇で会社を離れても会社の状況の変化で呼び戻すというようなことも実際あります。つまり、個人にとって会社で仕事をするのは契約であり、個人と会社は対等の立場という意識が強いのが中国人気質です。中国人の会社での働き方は「就社」ではなく「就職」です。日本の会社組織は長く働いてもらうことを前提に、長期間でキャリアを積むような教育プランを準備しているケースが多く、キャリアパスとしての転勤や職種転換等も会社の業務命令で実行できる仕組みになっています。しかし、中国では元々会社との契約には担当職種を限定していた歴史があり、個人のスキルで会社と契約するという意識が強いところが日本と大きく異なります。更に、企業の中にいても起業家精神が強いので、自分の仕事は他人に譲らないとか、仕事の内容をオープンにせずに秘密にするような行動があります。
 従って、このような職業観を基底に転職についてはかなり合理的に考えているのが現実で、一度辞めた会社に再就職するという事にもあまり抵抗がないケースを見てきました。 今のような状況で人材を採用する目的は即戦力となる経験者採用になりますので、従来とは異なるルートを考えて採用活動する必要があるでしょう。但し、社員のリクルートで注意しなければいけないのは、企業による人材の引き抜きです。これは中国でも法律で禁止されていますので、あくまでも個人の意思で行動することが前提です。

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