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Last Update:2023/3/9
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コラム 中国ビジネス噺

第56回 これから中国へ赴任される方へ(28)

(2023年3月9日)

   中国では春節も終わり、ようやく日常が戻ってきたようです。コロナに対する様々な規制もここにきてかなり緩和されてきました。日中間での交流環境はどうでしょうか。2023.1.8より、日本発中国行きの航空便では、搭乗前は48時間以内のPCR陰性証明が必要ですが、中国到着後のPCR検査及び集中隔離は不要になりました。VISAについても、2023.2.2より「M VISA」(商業・貿易)「F VISA」(交流・訪問・視察)「Z VISA」(就労)等の申請が可能になりました。但し、日本人に対する15日間のVISA免除措置は停止中という状況です
 ようやく中国全体でコロナが落ち着き、以前の環境に戻りつつありますが、上海でのロックダウンが長く続いた影響などから200社以上の日系企業が撤退し、中国全体の日系企業は12000社にまで減少しているという報告もあります。中国へ進出している日系企業の4割は製造業であることから、巨大なマーケットと労働力、所謂「世界の工場」を拠り所として中国へ進出してきたことが分かります。しかし、中国のゼロコロナ政策により、工場の稼働が長期に渡ってストップし、日本側の生産や輸出に多大な影響が出たことで経営困難に陥った企業も多々あります。また、現地駐在員も、出勤停止さらには外出禁止が長期にわたったことから家族帯同者は日常生活でも大きな影響が出ました。
 ゼロコロナ政策の影響による撤退や倒産等で日系企業が減少している傾向は、欧米企業も同様で、「脱・中国」現象が進んでいるようです。日系企業の中国進出状況の変化について業種別でみると、機械・電気製造業、アパレル産業の減少が多い反面、メディカルケアや教育分野、金融保険業では増加傾向という様に、「世界の工場」という役割には大きな変化がみられるようになってきました。
 これまで日中間には日本の技術力と中国の巨大マーケット言う双方の強みを生かしたビジネスが展開され、様々なサプライチェーンが構築されてきました。日本から部品の一部を中国の工場へ輸出し製品として更に欧米へ輸出するような流れもあり、日系の製造業は中国に多大な投資を行ってきたことから、一気に撤退するわけにはいかない事情もあります。苦戦を強いられている自動車業界では中国での販売台数シェアは中国国産車44%、ドイツ車、日本車がそれぞれ20%となっていますが、日本車の実台数では中国での販売台数の方が日本国内の販売台数より多いという実態もあります。一方コロナ禍の昨年11月にはニトリが北京豊台イオン店に新店舗を開業し、在中国日本大使が開業式へ出席したというニュースもありました。
 コロナが一段落して、ビジネスでこれから中国へ行かれる方は間違いなく増加すると思いますが、日本からの投資内容には大きな変化がみられることが予想され、これまでの拡大路線を引き締める業種も出てくる等、コロナを期に大きく転換していくものと思われます。

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