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Last Update:2023/5/11
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コラム 中国ビジネス噺

第58回 これから中国へ赴任される方へ(30)

(2023年5月11日)

   今年の日本のゴールデンウイークは3年ぶりに各地で外国人旅行者が増加して賑わいが戻りましたが、残念ながら中国からの訪日にはまだ規制がかかっている状況で、日本から中国への渡航もVISAの取得が必要な状況です。このような状況の中、中国へ赴任される方にはいろいろと不安を抱えておられる方も多くいらっしゃると思います。
 先日4年間の中国駐在を終えて帰国した元部下と会う機会がありました。彼は3回目の上海駐在でコロナ前までは家族帯同でしたが、感染状況を鑑みて2年前に家族を先に帰国させ単身赴任に切り替えていました。コロナ禍での仕事や生活の状況はかなり厳しく、事務所ビルの突然の封鎖、出勤そのものの禁止令等、予測を超えた状況が続き業務は大混乱に陥ったそうです。住居エリアも突然封鎖され、食料品等の配給もままならず、あっても「一戸単位」の配給で人数が考慮されず、日本人中国人問わず家族持ち世帯やルームシェアをしている学生たちなどは大人数で食量が足りず、本当に死活問題に陥ったという現状だったそうです。
 また、日本との行き来にはそれぞれの隔離が義務付けられていましたが、彼は業務都合と家族に会う為に年2回程度は往復していたとのことですが、中国入国時の3週間の隔離は大変厳格で、各部屋のドアにはセンサーがついていて一定の時間開いているとすぐに警告されるという、まさに軟禁状態。冷蔵庫、エアコンもなく極めて不自由な環境での生活を余儀なくされていたそうです。
 このようなコロナ禍による予期できない状況に直面し、企業も個人もかなり大きな影響を受け、中国に進出している日系企業は過去10年間で最も少ない12000社に減り、上海ではロックダウン等の影響で200社が撤退したという情報がある一方、第三次産業では新たな進出企業もあり、コロナ後の回復期に向けて新たな商機も存在することは間違いありません。
 以前から中国で事業展開している日系企業の中で最も大きな問題となっているのは、従来のサプライチェーンが崩壊したことで、これは日系企業の40%を占めるといわれている製造業では深刻な問題です。しかしながら第三次産業やIT産業では新たなサプライチェーンの構築を図るなどの対策を講じて逆にビジネスチャンスを広げる可能性もあると思われます。コロナ後はそれ以前のビジネス環境とは異なった状況になることを前提に各企業が対応を迫られることになるでしょう。
 いずれにしても、コロナ禍の厳しい生活環境下、駐在員の方々は中国社会の中で、中国人社員や居住区の中国人の皆さんと協力して助け合って切り抜けたという話を聞きました。日本人の駐在員よりも現地で生活し続ける中国人に対するダメージの方が、はるかに大きいことは間違い無いですが、お互い様という事で助けてもらった話もよく聞きます。 コロナ禍の様々な政府の対応は日系企業にとってはカントリーリスクと言えますが、今後も中国のマーケットで事業を継続する以上、将来に向けたリスクヘッジが必要です。

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