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Last Update:2023/6/15
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コラム 中国ビジネス噺

第58回 これから中国へ赴任される方へ(30)

(2023年6月15日)

   コロナも一段落して、日本から中国への駐在員が増えてきました。中国ではコロナが十分に抑え込まれているとは言えず、日本でワクチンを接種するなど事前の予防策を講じて赴任するようお願いします。最近駐在予定の方から、中国語の勉強方法についてよく聞かれます。中国語の勉強法で一般的に企業で行われている方法は、会社に講師を招いて定期的にレッスンする方法、中国語検定試験HSK受験を目的として語学学校のコースに入る方法、というのが一般的に行われています。
 まず、どのような勉強方法を取るかという事を決めるには、勉強する目標をはっきりさせる必要があります。現地のスタッフとの日常のコミュニケーションを取ることが目的であれば、語学学校へ行くよりも身近な中国人に教えてもらう方が生きた中国語が学べます。このように中国語の会話を重視するのであれば、基本になる文法を抑えておく必要がありますが、日本で手に入る中国文法の本で充分対応できます。
 あとは現地でなるべく中国の環境に身を置いて、中国人からレッスンを受けられるのであれば、特別な教科書よりは業務で使う言葉等、直ぐに実践することのできる内容がベストです。例えば製品のプレゼンを中国語で行うとか、商談を中国語で行うとか、現実的な内容が上達に繋がります。 レッスンで覚えた内容をすぐに実践で試す内容がモチベーションのアップに繋がりますので、レストランでの注文の仕方などをレッスンしてもらうような内容でもよいと思います。
 一方で大学進学の為にHSKの級の取得が必要なケース等ではこの検定の勉強が必要ですが、以前HSK受験を目的に上海の学校へ通った社員は「動物の名前は100くらい言えますがほとんど会話はできません」と言っておりました。
 私見ですが、中国語検定やHSKを目的にしたスクーリングは内容が受験テクニックになっていることと、多くの学校は同じクラスに日本人や韓国人が多く、当然ですが中国人との関りが無いことから、会話力や聞き取りの力はつきにくいのが現実です。一般的に企業の中で教育を管轄するのは中国の事情を知らない本社のスタッフであることが多いために、国内の語学レッスンと同じような感覚で決めてしまうことが多いことから、効果の低いレッスン内容になってしまうケースが多くみられます。
 実際に赴任される皆さんにとっては、直ぐに役に立つ勉強が必要で、かつ中国に行くわけですからすぐに実践できる環境に恵まれているので、うまくはまればめきめき上達します。ただ、一点注意しなければならないことがあります。それはネットや電子辞書などで独学のみに走ることです。日本と中国では共に漢字を使う為に発音は異なりますが意味が通じる言葉も少なくありません。そこで、辞書で言葉を探して同じ意味になるかと言うと、必ずしもそうでないケースが数多くあります。例えば「看病」という言葉は日本の意味とは違い中国語では「診察を受ける」という意味ですが、辞書で「看」を見れば「見舞う」という意味もあれば「視察を受ける」という意味の両方が掲載されています。しかし中国で「看病」と言えば100%「診察を受ける」という使い方をします。日本語でもあるように寛容的にどの意味で使う言葉かという事は、日常会話の中で生きた中国語を身に着けることを心がけていただきたいと思います。

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