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Last Update:2024/7/4
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コラム 中国ビジネス噺

第73回 これから中国へ赴任される方へ(45)

(2024年8月15日)

   
 最近中国へ進出している日系企業の動向は様々な様相を呈しています。製造業などでは産業構造の変化により事業を縮小したり、サービス業では事業拡大に向かっている企業もあるようです。いずれにしましても、中国人現地社員との共同事業である現地会社のマネージメントは日本と違って気を付けることが多くあります。中国進出した日系企業ですので、日本との最大の違いは日本人と中国人が共存しているという事と、中国文化の中で業務を行うという事です。従って、まず第一は日本人スタッフのこの点についての共通認識です。
 業務での成功ポイントは、日本人スタッフだけで行動しないことです。具体的には日本人だけで集まる会議は行わない事。「このことは中国側には話さないでおこう。」というような情報の壁を作らず、全員が平等で情報を共有する環境作りをすることを日本側が確認しておくことがポイントです。これは往々にして日本の本社がネックになることもありますので、ここは日本側にも認識して頂く必要があります。また、中国人スタッフが日本人との壁を感じるのは処遇の違いにあります。日本人スタッフの所得税は全世界課税になっていますので、日本人駐在員は中国の税務局へ納めることになる為、中国人の会計スタッフは日本人の所得を把握していることが多いのです。従って、彼らの不満が出るとすると現地会社の業績が自分たちへきちんと還元されているかという事になります。会社の業績の開示、そして昇給や賞与の実施を通じて中国人スタッフへ納得性のある処遇を行うことが肝要です。金持ちの日本人の為に働かされているというような誤解を与えないように、態度で示していくことが信頼に繋がります。日常業務において、指示の方法につきましてはライン直下の部下にしか指示を出してはいけないという事が言われますが、この意図は「中国人は査定者のいう事しか聞かない」という行動認識にあります。
 会社全体で何か共同方針を出して活動するような場合、全体の組織上の役割として日本人、中国人問わず上位者が一般社員へ指示をすることは問題ないですが、個別の業務では査定者が指示を出すことが現実的です。つまり、まず中国人部長と意思の統一を図り、その上で中国人部長から部下への指示を出してもらい、業務報告は部長からしてもらうという流れが部下から見ると自然です。実際に処遇の査定を実施する場合、日本人だけで行うと不満が日本人へ向いたり、ラインでもない日本人が入ることに違和感を与えることがありますので、査定は必ず中国人幹部をいれること、又直属の部下の査定は中国人管理職に任せるとスムーズにいきます。中国人部長としても自分の管理者としての面子が立つので日本人との関係性も保たれます。

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