★バックナンバー一覧
(2019年3月24日)
中国でビジネスをする場合に一番厄介な問題は紛争への対処でしょう。 法律や商習慣が異なる中国でのビジネスにおいては、様々な予期せぬ状況が噴出するというのは、中国進出日系企業は皆さん経験されていることだろうと思います。 まず身近な問題として直面するのが労働問題ではないでしょうか。皆さんにも経験がると思いますが、会社には従業員の退職や解雇に関わって様々な問題が発生します。 まず、従業員が転職などにより退職を申し出た場合でも、会社としては「企業秘密の漏洩」を防止することが必要です。 これには採用時に遡り対処しておくことがポイントです。つまり、採用した社員が企業が定めた「企業秘密」を取り扱いうる仕事に従事するかどうかにより「協業避止契約」を結ぶかどうか判断しておく必要があるからです。 中国で社員が退職する場合、就業規則に定めていても「今日辞めます」という様に突然申し出てくるケースは少なくありません。この場合、彼らはそそくさと荷物をかたずけてさっさと帰ってしまうこともあります。 会社としては、最低限の手続きを踏む必要がある為、職場の上司や工会と連携して「企業秘密の漏洩」が無いかどうか持ち物チェックが必要です。最近では企業データの持ち出しについて対処策を講じてはいますが、これを持ち出していないかについて面談を通じて確認し、離職届に双方のサインをしておくことが最低限必要でしょう。 退職者との間に合意がある場合でも、後日経済手当を要求したりする「労働仲裁」を起こされるケースも多々ありますので注意が必要です。 特に、「解雇」の場合は就業規則に則り、工会を含めた懲罰委員会等を経て当人の承諾を得ておかなければなりませんが、手続きが完璧であっても後日労働仲裁による紛争が起きることがあるのが現実です。 中国は訴訟社会であり、当人が多少不利であっても労働仲裁を起こすことは多々あります。会社としては臆することなくこれを受けることが問題解決に繋がります。 したがって、就業規則に則った手続きと、証拠や工会の証言等を準備して毅然としてこれに対応することが再発防止にもつながります。
※サイトの記事の無断転用等を禁じます。