★バックナンバー一覧
(2026年4月16日)
中国進出日系企業にとりましては依然として先行き不透明な状況が続いております。さらに、イラン情勢が加わり世界経済全体が混乱の中にあります。昨年11月以来中国側の対日批判のトーンは強まっており、航空便の削減、中国人の日本渡航自粛、日本関連イベントの中止、日本産水産物の輸入禁止などの措置を講じております。 これまでも中国進出日系企業の中では、業績低迷等で事業縮小や中国から撤退する企業はありましたが、昨今のような状況の中で現状のビジネスは堅調でも将来的な業績や事業環境の見通しを想定して事業計画の見直しを検討する企業も増えています。ここで問題になるのは、中国で事業縮小や事業撤退は簡単ではないという事です。つまり事業縮小には人員の整理が必要ですが、期間の定めのない雇用形態になっている社員の整理は簡単にはできないのが現実です。また、事業撤退となると更にハードルは高くなります。手続きが比較的スムーズなのは事業譲渡による撤退と言われています。譲渡先が見つかれば企業は存続することから従業員に対する負担も少なく、世間体も大きな問題は生じないでしょう。ただ、現状譲渡先を見つけることは簡単ではないのも事実です。事業譲渡以外では清算がありますが、行政との調整にはかなりの時間がかかること、製造業では供給責任が問われることもあるので、企業の社会的責任の面で難しさがあります。最後に、破産がありますが裁判所の許認可を受ける必要があることから条件面での調整が難しいことに加え、企業としての世間評に影響を与え、今後の事業に悪影響を及ぼすことは避けられないでしょう。また、破産申請には中国のルールで破産管財人が手続きを行うことから、日本サイドからコントロールできず、手続きが長期化するなどトータルで費用が膨らむというリスクが考えられます。 企業としての法的なハードルとは別に問題となるのは従業員との交渉でしょう。過去に、事業譲渡や事業撤退に伴い従業員による大規模なデモやストライキが起きた事例は多々あります。日系企業においてもソニー、キャノンなどの事例が挙げられます。従業員からの理解を得られない場合には公的手続きが進まないことから、説明には条件面も含めてかなり前から準備して、譲渡や撤退のニュースが事前にリークする前に従業員説明会を進めることが重要です。日系企業の工場撤退の例を見ると、法律の規定以上の経済補償金を始め春節の慰労金、就業支援金等の支払いが生じた例もあります。このような事実は、一つの事例として今後の企業の対応に影響を与えます。過去の事例を引いて更に高額な要求が出るなどエスカレートする可能性があります。日系企業の間では、今後の事業展開に向けて様々な状況に準備する必要があると思われますが、従業員からの理解や政府機関からの支援が得られることが成功の条件です。日ごろから、企業内の中国人幹部、工会等との良いリレーションを図り円満な企業活動を行うことが様々なリスクを回避する方法でしょう。 以上
※サイトの記事の無断転用等を禁じます。