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Last Update:2026/7/9
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コラム 中国ビジネス噺

第96回 これから中国へ赴任される方へ(68)

(2026年7月9日)

   
 ここ数年中国進出日本企業の現地対応には以前とは大きな変化が生じています。中国市場の変化により中国事業の縮小、撤退する企業がある一方で事業を拡大する企業もありますが、中国に滞在する日本人の推移を見てみますと、直近10年間で駐在員や留学生などの長期滞在者は12万8千人から9万2千人に減少、一方で中国への永住者は3千5百人から6千人に増加したという統計があります。文革後50年、改革開放後、世界一の人口を抱えている中国へ安価な労働力を求めて「世界の工場」として日本企業が最初に中国へ進出した第一波から40年、中国国内市場の拡大に合わせて中国を世界最大規模の市場として進出した第二波から30年が経ちました。振り返りますと中国との経済上のかかわりは目的に応じてこの40年間に大きく変化しながら今日まできましたが、進出企業の構造には大きな変化が生じています。このような変化は、中国現地スタッフにも大きな影響を与えていると感じます。日本企業が中国で業績を伸ばしてきた要因には、日本の優れた技術とそれを実現する教育システムやそれをマネージメントする組織力がありました。現地スタッフの皆さんも日本企業の優れた経営手法をリスペクトしてお互いの信頼関係を築いてきたと言っていいでしょう。
このコラムの最後に、在中国日系企業の組織形成についてコメントしたいと思います。私が駐在中に実感したことでもありますが、中国人スタッフは組織の中でも「個」を主張するという意識が強く、自分の存在感を大切にしていることから自分の能力が自分の思う様に評価されているかが働くモチベーションになっているように感じます。ここに日本企業の本社制度をそのまま持ち込むと、日本の長期ビジョンに基づく人事制度は評価スピードが遅く、評価結果もやや曖昧な印象が強いために中国の短期ビジョンや業務のスピード感に会わず離職するという結果に繋がります。また中国人スタッフは「発展空間」と呼ばれる企業の中でのキャリア育成の可能性に敏感で、転職もまたキャリアアップの手段という様にとらえるので、自社の中でキャリアパスを明確に示して目標が見える様にすることが社員定着のポイントと言えます。つまり、中国での企業経営においては、中国向けの人事制度を構築して組織運営する必要があると思います。
一番大きな違いは「信賞必罰」です。性善説で長期雇用を前提とする日本方式と異なり、中国では短期目線で罰則主義が前提になっているので、日本式の制度ではメリハリに欠ける制度となってしまいます。また、人材の配置につきましても、日本人駐在員と現地スタッフが同じ部署で上下の関係になるより、機能の差別化を図って組織をローカルとグローバルに分けるという方法もお互いのモチベーションを満足させることに繋がるでしょう。最終的には日中のスタッフが良いコミュニケーションを築いてお互いが助け合ってゆく気持ちを醸成出来ることが良い職場に繋がります。私が気を付けていたことは、日本人だけの会議、ミーテイングは避け、必ず中国人スタッフを入れて情報の共有を図る。評価査定や賞罰の査定には必ず日中スタッフを合わせて実施することを実行してきました。この40年間で中国ビジネスには大きな変化がありましたが、企業で働く人の気持ちは変わりませんので、これからも良い職場環境を作って日系企業の良さを保ち続けて頂きたいと願っております。
2019年から続けさせて頂きましたこのコラムも今回で最終回となりました。これからも中国で活躍する皆さんの今後ますますのご発展を心より祈念申し上げます。有難うございました。                                      以上                                  

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