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 第十回 水不足とその対策

水資源大国の第4位にランクされる中国。しかし、国民一人当たりの資源量は世界平均のわずか4分の一。一般に、一人当たりの量が2000立方メ−トル以下だと水不足とされます。中国のそれは2200立方メ−トル。ところが、地域によるアンバランスがひどく、北方地域では700立方メ−トル前後、北京、天津では150〜320立方メ−トルにしかなりません。しかも、2000年現在、年間5600億立方メ−トルの水が使用されているのに対し、2050年の推定必要量は8000億立方メ−トルに達するという試算も有るのですから、中国にとって水の問題が如何に深刻か知れようというもの。
現在、北方の黄河、タリム河、黒河の三河流域は極度の水不足に見舞われています。2001年前半期だけでも4億ム−の田畑が干害に遭い、2260万の農村人口と1450万頭の家畜が飲み水にも事欠く有り様。更に干害は南方にも広がり、四川省は50年来最悪といわれるひでりに見舞われました。
水不足を補うため、大量の地下水を汲み上げていますが、その結果、地下水位は急速に低下し、地下水系がズタズタに寸断され始めました。ならばとチャレンジしたのが人工降雨。2800万元を投じて施設を建設し、降雨に成功した寧夏に続き、江蘇省でも人工降雨が実行されました。海水の淡化にも積極的な取り組みが始まっています。遼寧省の<玉柴化方膜工業有限公司>は脱塩率99%の複合反浸透膜の開発に成功しました。
水不足に悩む大都市では節水が待った無し。北京では処理水の再利用で年間1億立方メ−トルを節水、天津は洗車の処理水使用を義務づけ、武漢は全市に節水器具の取り付けを実施しました。
2001年2月、浙江省義烏市が2億元で隣接する東陽市から年間5000万立方メ−トルの水の永久使用権を取得、水使用権の初の売買として注目されました。"商品水"の登場は「貴重な水」を象徴する出来事と言えましょう。
北方の水不足を根本的に解決するため、第10次5ヶ年計画に盛り込まれたのが、"南水北調"(長江の水を黄河に引く)計画。他にも、山東省の"西水東調"、長春市の"引松(松花江)入調"、大連市の"引英(英那河)入連"など、関連プロジェクトが目白押しです。

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