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第1102回 2023.12中央経済工作会議-その1-

(2024年1月11日)

 2023年12月11~12日に恒例の中央経済工作会議が開催されました。本来、次期党大会までの基本方針が提示されるべき重要な三中全会が開催されないままという異例の事態の中で、当面の方針を示すものとして、その内容が注目され、様々な論評が飛び交っています。
 同会議では、2024年の基本方針として、まず“稳中求进”、“以进促稳”、“先立后破”という三つの標語を掲げました。このうち“稳中求进”はここ数年間、必ず掲げられていたスローガンでしたが、コロナ末期の2022年では“穏中求進”に比べ、“穏字当頭”が多くなりました。経済の下振れ圧力が強く、不動産など、リスクが増大したからです。今回また復活したわけですが、それに加えられた“以进促稳”、“先立后破”のうち、“以进促稳”は、最近富に中国のメディアに登場する“高质量发展”「質の高い発展」によって、経済の安定を図ること、“先立后破”はまず新たな発展の原動力となる産業を育て、それから不動産産業や地方財政問題など宿痾とも言えるべき課題を克服しようというものです。
 こうした基本方針の下、財政政策では、積極的な財政政策に“适度加力”「適度に力を入れる」という方針が示されました。その意味するところは、過度の積極財政を推進するのではなく、財政支出構造を健全に保ち、財政の持続可能性を維持する一方、国の重大戦略任務の財政的保障を強化し、地方政府の専項債を地方中小銀行などの資本金に組み込見込めるよう拡大して、資金難に陥っている地方政府の融資プラットフォームや不動産開発企業に資金を回すようにしたり、きちんとした減税の枠組みを構築したりし、科学技術のイノベーションと製造業の発展をサポートしたりすることです。とはいえ、財政赤字のGDPに対する比率は、2010年代以降、1.5%台からほぼ右肩上がりで、昨年10月には約1兆元の特別国債の発行が報じられており、今年3%を超えるのは必至と思われます。
通貨政策については、流動性の確保を第一に掲げ、また、社会の融資規模、貨幣供給量を、名目GDPではなく、より民衆の肌感覚に沿った経済成長や物価水準の期待目標に合わせ、技術革新・グリーン転換・零細企業・デジタル経済などへの支援を強化することが謳われました。こうした基本線を踏まえつつ、同会議では九つの重要政策が提示されました。その詳しい内容については次回に。

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