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第1105回 国内水運の整備

(2024年2月8日)

 習近平総書記が「国内河川の持つ水運の役割を十分に発揮させよう」と強調している言葉通りに、2021年末、中国国内河川の水運用河道総距離は12.8万キロ(世界一)、生産用の埠頭は20,867カ所、貨物輸送量は41.89億トン(世界一)に達していました。2022年4月、中央財経委員会はさらに「沿海の港も含めた全国港湾施設ネットワークの高度化」を提唱しましたが、その中で国内河川の占める役割も極めて重要で、近年の長江や、京杭運河-淮河、西江など、主要水路の発展ぶりには目を見張るものがあり、<国家総合立体交通網計画綱要>が計画している“6軸7廊8通道”という主要骨格において、水運は重要な組成部分として認められ、2035年には、内陸部の主要港も36になると言われています。そのため、<第14次5ヵ年計画現代総合交通運輸システム発展計画>では、同期間中に国内河川一級航路を2400キロ増やすとしています。長江航路は、早くも2017年に中流域で“九曲十八彎”と称される難所、荊江区間の河道整備が13年をかけて竣工し、 さらに翌2018年には南京から河口まで水深12.5メートルの航路が完成、5万トン級の船が航行可能になり、長江本流の年間輸送量は26.9億トンに達しました。こうしたインフラ整備を経て、2019年5月には、重慶-上海間を往復する快速輸送船も運行を開始し、平均して上りは15.8日、下りは11日と40%以上スピードアップ、同年末までに延べ315隻がコンテナ8.6万ケースを輸送するまでになりました。
 蘇った京杭運河も大きく発展しています。北半分はすっかり廃れ、干上がっていた地域もあった同運河は、世界遺産への登録に合わせ、再生プロジェクトが精力的にすすめられ、2022年4月には百年ぶりに全線通水しました。江南の水郷地帯から山東省を通り北京へと向かうこの運河は、途中、銭塘江・長江・淮河・黄河・海河の5大水系と交わり、その水は南水北調東線・黄河・各地元・再生水・雨水洪水などから調達されました。
 南部の珠江-西江水系でも水上輸送が急速に発展しています。西江では2020年に年間輸送量が10億トンを突破、貴港港は珠江水系で初めて吞吐量が1億トンを突破しました。
<西部陸海新ルート全体計画>に組み入れられ、727.3億元をかけ建造された平陸運河(広西チワン族自治区南寧市平塘江-北部湾、全長135キロ)も、新中国建国以来初めての海と河を結ぶ運河として注目されています。これによって中国西北部と西南部は、西江から海へ出る最も近いルート(従来の広州経由を560キロ短縮)を手に入れることができたのです。

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