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第1109回 エネルギー政策の新たな進展-その2-
(2024年2月29日)
化石燃料は徐々に再生可能エネルギーにその座を譲りつつあります。第13次5ヵ年計画中(2016-2020)に、再生可能エネルギー発電能力は年率13.1%増だったのに対し、石炭火力発電能力は3.7%増に止まり、全体に占める割合も59%から49.1%と半分以下となりました。とはいえ、今後一定期間、中国のエネルギー消費全体に置いて石炭はなお重要な役割を果たしていかなければならず、実際に2021年には産出量が史上最大の41.30億トンにまで達し、2030年まで同程度のレベルを維持するものと推測されています。こうした中、従来、重労働の典型になっていた石炭の採掘も安全点検が強化され、2020年には採掘の機械化率が78.5%に達し、全国200カ所以上でスマート化も進んでいます。石炭産業が今後もエネルギー消費において重要な地位を占めていくには、石炭産業のモデルチェンジとアップグレード、豊かな石炭資源を如何に効率よくクリーンに使用するかが重要なポイントになります。その意味では、2020年までに中国の近代的大規模鉱山による生産量や、クリーンで効率の高い超低排出消費がそれぞれ85%に達していることは注目されます。
石炭の新たな利用法も開発されています。2022年、陝西省の榆林に年産50万トンの石炭ベースエタノール工業化プロジェクトが完成しました。このプロジェクトは、2010年から研究がすすめられ、2017年に着工したものです。世界のエタノール生産量は2020年当時で約1億トン、主にサツマイモやサトウキビを原料にして作られていました。一方、中国のエタノール生産量は987万トンにすぎず、その内、燃料用はわずか274万トン、おもに古い穀物を原料としており、実需の1400万トンには遠く及びませんでした。エタノール年産50万トンを達成するには、穀物の場合、150万トンが必要ですから、石炭を活用するメリットは計り知れません。
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