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第1121回 天気予報への取り組み-その3-

(2024年5月30日)

  2021年11月の<“十四五”交通気象保証計画>は、2025年までに、自動車道路・鉄道・内陸水運・海上交通その他で多部門が連携して交通気象サービスの枠組みを作り上げ、交通関連気象の精密な観測と交通気象災害のリスク調査を通して、全国が一体化した交通気象ビッグデータを整備し、陸海の物流をバックアップしようというものです。
 これと時を同じくし、同月27日、陸海空立体共同観測科学実験がスタートし、翼竜-10無人機が陸海空各観測機器と無人機との緊急気象観測システム形成実験を一か月にわたり行いました。今後、台風・洪水・森林火災などに威力を発揮することが期待されています。また、翌2022年には、2022-2024年の間に、竜巻、雷や強風、雹、線状降水帯などに対するレーダー観測実験を行うことが発表されました。中国では同年までに236基のレーダーを擁する世界最大の気象観測網が形成されており、この実験を通して観測能力を向上させることが期待されています。
 2022年5月、国務院から<気象高度発展綱要(2022-2035)>が発表され、7項目の主要任務、①気象科学技術の自主革新能力の向上 ②気象インフラ建設の精密化、正確化 ③気象防災防御ライン強化による予報能力の向上 ④気象予報による経済発展への貢献 ⑤都市農村気象サービス体制整備による庶民生活の向上 ⑥生態系の保護と修復に対する貢献 ⑦気象業務関係の高度な人材の育成が示されました。庶民生活へのサービス向上は、農業やアグリツーリズムには朗報です。これを受け、中国気象局と国家発展改革委員会も同年12月に<総合気象観測業務発展“十四五”計画>を発表しています。また、2023年5月には、気象局が<汚染防止を徹底して推進する気象支援行動計画(2023-2025)>5方面17任務を発表し、雄安新区、長江デルタ、粤港澳大湾区などの緑化状況や、大気汚染やオゾン層の観測、生態システム保全状況の観測に注力する姿勢を示しました。
 近年の中国では、地球温暖化で、干害や森林火災が多発しています。そうした中、前述の人工降雨がここへきてさらに発展しています。中国の人工降雨規模はすでに世界最大で、2022年には作業機が56機、作業基地は全国で1.7万か所に上り、農作業の水需要期をカバーしたり、森林火災の消火に使われたりするほか、三江源、祁連山など国家重点生体機能区の3/4、丹江口ダムなど大中ダムの約半分で、生態修復に使われています。

三瀦先生のコラム