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第1122回 中国アニメの現状

(2024年6月6日)

  中国でアニメ産業が重点支援文化産業に指定されたのは2003年。2007年にはCCTVがアニメ専門の会社を設立、その後、10省庁横断で専門家委員会が設立されてアニメ産業育成に力を入れ、“藍猫”などのヒットを生み出しましたが、一方で、国産アニメと国外アニメの放送比率を7:3とするなど露骨な自国産業保護政策も行い、国外の非難を浴びました。
 2015年、<西遊記之大聖帰来>が先駆者として年間映画興行収入ベストテンに入り、国産アニメ総収入20.54億元のうち9億元を稼ぎ出しましたが、その他は粗製乱造が多く、この頃から、中国アニメのブランド化が大きなテーマとして取り上げられるようになりました。
 その後、2020年ごろにかけ、<大魚海棠><白蛇:縁起><哪吒之马魔童降世>などの大作が次々と登場しました。中国にはもともと水墨漫画や連環画の下地があり、さらに、20世紀半ば以降、上海美術電影で300篇以上のアニメを制作したなどの経験がありました。これに加えて、2010年代には、例えば<哪吒之马魔童降世>で制作人員が1600人を突破、特殊効果チームだけでも20チーム以上を数えるなど、若いアニメ制作者が続々と育ってきました。例えば、近年、河北省張家港市は「張家港アニメ技術者」というユニークなブランドを形成しています。同市職業教育センターでは早くも2001年にアニメ専科を設立、今では全国百社余りに3000名以上のアニメ、ゲームなどに関わる人材を供給しているのです。同センターでは校内に産学協同実践基地を設立、すでに2021年には校内で300余りの企業プロジェクトを完成しました。
 中国でアニメのメッカといえば杭州。中国国際アニメフェスティバルはもう20回に達しようとしていますが、同市は毎年1億元を特別資金として用意し、アニメ産業の発展を推進しており、2025年にはアニメ、ゲーム産業で年間600億元以上の収入を見込んでいます。中国アニメが成功しつつある原因の一つが豊かな歴史文化の中から前述のような個性的なキャラクターや魅力あるストーリーの発掘発掘に成功していることでしょう。最近のヒット作品を見ても、『天官賜福』『百妖譜』などはその線上にあります。一方、『羅小黒戦記』『時光代理人 -LINK CLICK-』といった類の新たなテーマ設定も盛んになっており、その幅はますます広がると考えられます。中国アニメ産業の総生産額は三千億元にも上り、ユーザーも今や4億人を突破しており、今後の動向が注目されます。

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