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第1129回 新たな社会モラルへの取り組み

(2024年8月1日)

 過去にも取り上げましたが、2010年代半ば、中国では、「旧来の陋習」を改めようという機運が盛り上がり、様々な議論を経て、2019年に<新時代公民道徳建設実施綱要>が示されました。その内容は多方面にわたる道徳心の涵養を目指したもので、前後して推進された“光盘运动”「食べ残さない」などもその一つですが、それと並び、大袈裟な冠婚葬祭の風習もやり玉にあがりました。特に婚礼については、出生率の低下による人口減の社会に与えるボディブローが徐々に顕著になるにつれ、2022年頃から、すこしでも婚礼の負担をなくし、結婚しやすい環境を造ろうという取り組みが目立つようになりました。
 2022年、「工人日報」に婚礼の軽量化を促す記事が掲載されるや、同年6月にはこれが人民日報に転載され、翌2023年4月には、<婚事简办 文明新风入人心>という記事も掲載されました。その前文では、年初に出された中央1号文献に記された、大げさな婚礼に対する戒めを記載し、各地域・各部門に積極的に改革に取り組み、婚礼風俗を、大衆を巻き込んだ自覚的行動に高めるよう檄を飛ばしました。2018年からこの問題を研究していた民生部は、これに歩調を合わせ、国家レベル32カ所、県レベル約1400カ所の省・市・県レベルの婚俗改革実験区を設け、農業農村部など8部門も、特別取締活動方案を打ち出して、全国的活動を展開しました。
 こうした動きと共に、様々に工夫した結婚式も行われるようになりました。集団結婚式はその一つで、2023年、江西省吉安市のある県では、合同結婚式を挙げた新郎新婦たちが自転車で大通りを進み、結婚の誓詞と旧風打破の宣言書を読み上げました。
 政府は、具体的な婚礼関係の改善すべき項目として、まず飲食面での浪費に関して、2023年9月に市場管理総局・民生部・中央精神文明建設弁公室が共同で、飲食浪費をさらに厳しく禁じる通知を出し、披露宴サービス合意書に浪費防止を盛り込み、メニューの簡素化、料理の数と分量の適正化を進めるようブライダル業者を指導、一方、消費者には余った料理の持ち帰りを促しました。また、結婚式の最大の重荷は結納の高額な金品。農村部では、高額を競う風潮がいまだに後を絶たず、老後の資金の当てにする者さえいます。挙句の果てに、高額な結納金は離婚時のトラブルの原因にもなり、同年12月には、最高人民法院が、結納金トラブルに法律を適用する問題について規定するパブリックコメントを求めています。

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