トップ > 現代中国放大鏡
Last Update:
第1133回 高齢者にまつわる話題
(2024年8月15日)
高齢化社会に突入し、2025年には60歳以上の老齢人口が3億人(総人口の20%以上)に達しようという中国では、老人に関する話題に事欠かかず、昨今、政府もその対策に大わらわ。2024年1月の全国民生工作会議によれば、2023年度第三四半期で全国の各種高齢者施設は既に40万か所、ベッド数は820.6万床に達しています。数量だけでなく、サービスの質の向上にも進歩が見られ、同年にはすべての一級行政区で基本養老サービスシステムの建設実施プランと基本サービスリストが打ち出されました。また、地域社会である社区も一層その内容を充実させ、ショートステイ、デイサービス、訪問サービスなど様々な機能を兼ね備えた地域高齢者サービスセンターの建設を推進しています。これと並行して、民生部など12部門が合同で<高齢者サービス人材群建設に関する意見>を出し、2019年版高齢者介護士職業技能基準で設置された5等級(初級工・中級工・高級工・技師・高級技師)の下に学徒工、上に特級技師・首席技師を設けて八級制とし、優秀な介護人材育成を一層推進する姿勢を示しました。
こうした政府の動きに呼応して、各地方でも独自な取り組みが展開されています。北京では、2019年に北京老人開放大学が設立され、書・絵画・ダンスなど様々な科目が設置されています。同開放大学は、北京全市のシルバー教育の指導を担っており、市内四級行政レベルの隅々までほぼネットワークを構築しています。一方、河南省鄭州市では「15分養老サービス圏」を建設すると同時に、スマート高齢者サービスプラットフォームを開発し、これまでに区-街道-社区の三級連動をほぼ確立、高齢者の参加率は100%に達しています。
高齢者が増えることは経済にとって必ずしもマイナスとも言えません。政府は「銀髪経済」を積極的に推奨、2024年1月には国務院が<銀髪経済の発展と高齢者福祉に関する意見>を出し、4方面、26項目の措置を提起しました。2023年の老人向け商品市場の規模は5兆元にも達します。しかし、近年、老人の消費需要は多様化、個性化の傾向が著しく、銀髪経済はこれにしっかり対応することが望まれます。その一例が「銀髪旅游」。コロナが終息に向かい、このところ「銀髪旅游」の需要はうなぎのぼり、その規模は1兆元にも上ります。冬は暖かい南方へ、夏は涼しい高地へ、旅行スタイルや目的も多様化、まさに消費喚起の一大パワーになる可能性を秘めているのです。