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第1137回 20期三中全会の分析-その3-

(2024年9月27日)

 改革に関する提言では、10項目の全体的施策が掲げられました。すなわち、1.全面的イノベーション支援体制 2.民生保障・改善制度体系の構築 3.市場メカニズムの役割発揮4.各種所有制経済は生産要素を平等に使用 5.各種所有制経済の優位性の相互補完と共同発展 6.全国統一大市場を整備 7.質の高い発展 8.実体経済・デジタル経済高度融合 9.革新駆動型発展戦略 10.財政・租税、金融など重点分野の統一的改革によるマクロ政策の整合性向上です。「全面的イノベーション支援体制」をトップに掲げていることは、経済低迷の中、先端科学の研究開発、産業への応用が最優先課題であることを明確に示しています。2.では超高齢化社会への対応や、医療保険制度の整備、就職問題への取り組みが焦点になります。3.は一見、市場の見えざる手の重視に見えますが、実態は大きな網がかぶせてあり、加えて、国有・公有企業を共産党統治の骨幹とする方針は不変であり、その点は、4、5にも大きくかかわります。これは体制の存立基盤にかかわる問題であり、今後も共産党政治の限界を示すテーマとして立ちはだかるでしょう。6.は地域発展の項目ともダブりますが、それのみではなく、産業チェーン、サプライチェーンなどの国内循環網整備に大きくかかわります。7~9.は現時点での一大スローガンであり、国民の目を経済の低迷から、次なる発展ロケットのエンジンとなる科学技術の発展及びそれに伴う産業の高度化へと向ける意図が透けて見えます。10.は経済の停滞打破に向けた基本姿勢を示したものと言えましょう。
 地域発展については5項目が掲げられました。すなわち、1.地域間調和発展戦略実施メカニズム 2.都市・農村間の要素の平等交換・双方向流動 3.新型都市化推進体制整備 4.農村基本経営制度を強化 5.土地制度改革を深化で、地域間の壁を取っ払って相互補完関係を強化しつつ、全国的な統一市場を形成しようという「地域間調和発展戦略実施メカニズム」がトップに掲げられました。2.は都市と農村の格差是正が新たな段階に入ったことを意味し、一方的援助から、相互の利点をマッチさせた双方向的発展への模索と言えましょう。3.はスマート都市の建設が主たる内容であり、それはまた、内需振興のレバレッジとしての役割を担ってもいます。4~5.は一見、1950年代の合作社を想起させますが、内容は大きく異なり、農民の土地使用権を集約して企業化する一方、農民の収入や雇用も確保するやり方です
 次回は分野別政策とマクロ経済対策を掘り下げます。

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