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第1138回 20期三中全会の分析-その4-
(2024年9月27日)
分野別政策としては ①国際協力を拡大、ハイレベルの開放型経済の新体制を確立 ②商投資・対外投資管理体制の改革を深化 ③所得分配制度を改善し、雇用優先政策を充実 ④医療・医薬・衛生体制改革の深化、人口発展支援・サービス体系の整備 ⑤生態環境ガバナンス体系。グリーン・低炭素発展の仕組みを整備ですが、①については、BRICSとの連携、一帯一路での連携という従来の骨組みの上に、このところ、中東、オセアニア、南米との連携、東欧への接近、さらに特筆すべきアフリカ諸国への働きかけ、とクローバルな展開を行っており、また、ウクライナ戦争やイスラエルのガザ地区、レバノン、シリアなどとの紛争を「奇貨居くべし」と利用する動きも活発で、最近のロシアとの緊密な関係は周知の通りですが、同床異夢の側面もあります。イスラエルは中国にとってハイテク産業、サイバーセキュリティ、農業技術、医療技術などの分野で重要な技術的パートナーであり、中国の企業はイスラエルの技術スタートアップや、港湾・鉄道・通信インフラなどの分野でも投資積極的に投資し、イスラエルにとって中国は貿易相手国第二位となっています。②に関しては反スパイ法など厳しい統制との乖離が目立ち、笛吹けど踊らずの感が否めません。日本企業の中国撤退の流れは今のところ止まる気配がなく、深圳の日本語学校児童襲撃事件が輪をかけることは否めないでしょう。③については、累進課税制度を採用してはいるものの、累進課税の範囲が狭く、富裕層に対する税負担が不十分、富裕地域と貧困地域の税収格差が大きく、地方政府の財力の不平等が顕著といった問題にどこまで踏み込めるかが焦点になります。このほか、子育てや教育、医療などに関する控除制度の整備が複雑かつ不十分さで、中所得層の税負担が大きい問題もあります。そして何より、富裕層や企業経営者の脱税にしっかり網がかかっておらず、不公平感を助長しています。税制運用が不透明で、一般市民や企業にとって分かりにくいことも問題です。④については、特に労働人口の急減と少子高齢化は待ったなしで、出生率向上のため、国を挙げた結婚奨励キャンペーンが進められています。政府主導の集団結婚式もその一例ですが、過重な結納金の問題や住宅購入問題の解決、第二子以降出産後の託児所整備の問題など、関連するサポートシステムの整備も避けて通れない問題です。⑤については他の機会に詳述しましょう
次回はマクロ経済ガバナンスシステムの整備についてさらに詳しく見てみましょう。