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第1141回 交通大国から交通強国へ
(2024年10月24日)
第14次5ヵ年計画(2021-2025)現代総合交通運輸体系発展計画で中国は、2025年までに総合的かつ一体化された交通運輸体制を実現し、スマート化・グリーン化を本格的に実現し、サービスの質、運行効率などを高めて、世界トップレベルに押し上げるという方針を明確に打ち出しました。また、長期的展望として、2035年には「全国123交通圏」(都市部では1時間以内で通勤、都市群内では2時間で到達、全国主要都市間は3時間でカバー)と「世界123EMS物流圏」(国内は1日以内、周辺諸国は2日以内、世界主要都市は3日以内)をほぼ実現し、交通強国を作り上げるという展望も示しました。第13次5ヵ年計画(2016-2020)で“十縦十横”総合運輸幹線ルートをほぼ開通させた政府は、第14次5ヵ年計画で、この骨組みをベースに、様々な種類の物流ネットワークを築くとともに、沿海・沿江(長江沿い)・沿辺(国境沿い)、並びに出疆・入蔵・西部陸海新ルートという戦略的幹線計6本を構築し、また、“71118”国家高速自動車道の主要路線をほぼ貫通させるとしました。これは、首都放射線7本、南北縦線11本、東西横線18本、地域環状線6本、都市圏環状線12本、都市環状線30本、並行線31本、連絡線163本で構成されています。一方、航空運輸面も整備拡充を進め、中西部と辺境地区を重点に民用貨物飛行場建設を進める計画で、2025年には270カ所を超えるとしました。こうした飛行場ではその80%以上に鉄道が乗り入れ、また港湾でも、沿海の重要な港の70%に鉄道の乗り入れを実現し、それぞれの地域の物流のハブとしての機能を発揮するようにするとのことです。
こうした交通インフラ整備に伴い、宅配事業の発展も顕著で、2023年には取扱量1320億件(年平均一人当たり90件余り)と10年連続取扱量世界一を達成し、営業収入も1.2兆元に達しました。平行してネット小売市場も11年連続世界一を記録しました。新たな変化も生じています。2023年、政府は<バスターミナル再開発を加速推進する通知>を発表し、六つの具体的任務を提示しました。実は2022年末で全国2800カ所の二級以上のターミナルは鉄道や自家用車の普及に晒され、商業施設などの併設で黒字を達成した割合は20%に過ぎなかったのです。とはいえ、多くの住民にとって公共バスは欠かせぬ足。そこで、特産物の販売、自動車修理や部品の販売、観光案内所の設置、その他飲食や宿泊の提供など様々な取り組みによる経営の多角化が始まっています。