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第1144回 各種犯罪の取り締まり

(2024年11月14日)

 2018年1月、政府は<反社会組織取り締まり特別闘争展開に関する通知>を発出し、全国的に取り締まり活動を展開しました。これについては本コラム2020年の901~902号で詳しく紹介しています。このキャンペーンの中で特に力を入れられたのが“村覇”と言われる農村地域を牛耳るボスや“黒社会”(裏社会)を形成する暴力団で、前者は一族の勢力を使って農村で幅を利かせ、さらには村の行政組織のトップにもなり、土地の収用・賃貸や建設工事などで暴力を振るうなど、農村の発展を利用して甘い汁を吸い、一般人を虐げてきました。後者はショバ代の徴収、風俗・賭博などの営業、高利貸や強引な取り立てを行い、近年では国外の闇組織とも連携して麻薬の密売や不法な出入国の幇助などに手を染めています。
 2021年、民生部など22部門は<違法社会組織をはぐくむ土壌の除去と社会組織生態環境の浄化に関する通知>を出しました。近年、中国では「中華~」「全国~」、「世界~」、あるいは「~協会」、「~促進会」、「~連合会」、「~基金会」と銘打ったインチキ組織が雨後のタケノコのように姿を現し、様々なインチキに関与しています。中には「中国国學院大學」のように、広く海外と交流する教育機関もありました。こうした状況に鑑み、2021年5月には<反有組織犯罪法>が公布されました。
 犯罪には様々な種類がありますが、最近取り締まりに特に力を入れている犯罪を挙げてみましょう。第一は賭博で、2023年11月から半年間、公安部は<清風2023>呼ばれる農村賭博撲滅キャンペーンを展開、半年でとばく案件が23.1%減った、と発表しました。  
 電信電話による詐欺の猖獗は日本同様、増大する傾向にあり、銀行カードや携帯番号を悪用した犯罪を防止する“断卡行动”も全国的に繰り広げられています。  
 中国で起こる犯罪の中で得意なのが児童の誘拐。儒教の伝統が根強い中、先祖を祀る火を絶やさないようにと、子供のいない家庭が子供を金で買って養子にする風習が生む需要を当て込んだ誘拐は、中国社会の宿痾ともいうべき犯罪でしたが、2010年代の厳しい取り締まりでもなお収まらず、李克強前首相も2022年三月に取り締まりに再度檄を飛ばし、同年、公安部は全国的に児童誘拐取り締まり特別キャンペーンを展開しました。このほか、DVや学校でのいじめなど、日本社会と変わらぬ問題が中国社会でも徐々に注目を浴び、対策が叫ばれています

三瀦先生のコラム