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第1151回 2025年12月中央経済工作会議-その1-

(2025年1月2日)

 2024年12月11~12日、年末恒例の中央経済工作会議が開催されました。中央経済工作会議は、共産党中央と国務院がその年一年間の経済状況を分析したうえで、2025年一年間のマクロ経済政策の方針を決定する重要な会議であり、この方針に基づいて春の全人代で具体的な政策内容が示されるため、中国経済の動向を読み取るうえでは重要な会議として位置づけられています


 今回の会議は、本来、2003年秋に開催されるはずだったのが半年以上ずれ込んだ夏の20期三中全会が示した2027年(次の党大会)までの基本方針をどう継承して今後一年の方針に反映するのかが焦点になりました。又、2025年は現在進行中の代14次5ヵ年計画の最終年であり、掲げた目標は是が非でも達成しなければなりません。中央経済工作会議を紹介した12月13日の人民日報一面記事では、特に三中全会後の9月26日に開催された中央政治局会議が発表した、金融緩和を示唆する財政支出拡大方針を取り上げ、「社会の自信を喚起し、経済は明らかに回復し始めた」と自賛しています。この時期はそれに先立つ24日に人民銀行総裁が、金融緩和・不動産支援策・株価維持策などを発表、大幅な利下げや預金準備率の引き下げと共に「株回収購入融資枠」3000億元を設けて企業に自社株購入を奨励するなど積極的な金融緩和を示唆し、また29日にも各銀行に住宅ローン金利引き下げを指示しました。


 その後、11月4~8日に開催された全人代常務委員会では、地方政府の債務上限を引き挙げて隠れ債務を置き換える議案が可決され、2024年から5年間は毎年8000億元を置き換えに充当(計4兆元)するとともに、地方政府特別債券の発行残高の上限を引き上げて、2026年までに10兆元の隠れ債務を削減する方針も打ち出されましたが、こういった対策は即効性があるものの、その過程で地方の融資プラットフォームと地方政府の関係をうまく処理できるか、課題も山積、というより、その結果が懸念されます。  

 
 中央経済工作会議はこうした取り組みを評価する一方、外部環境がもたらす不利な影響の深刻化(すなわち、アメリカの対中制裁など)や経済運営が直面する難題、とりわけ国内の需要不足、一部企業の経営難、雇用問題などを踏まえ、経済の安定成長、雇用の維持、物価の安定、国際収支バランスの維持、人々の所得増加と経済成長の同時進行を掲げました。それらの具体的な内容についてはまた次回に。

三瀦先生のコラム