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第1169回 中国自動車業界の急速な発展―その6-

(2025年5月8日)

 EVで主導権を握った中国は、車載電池でも台頭、販売量は前年比32.4%増、輸出量は87.1%増で、世界生産企業ランキングトップテンで6社を占めました。各社は、車載電池の構造と電気化学システムの技術革新を進め、2023年にはニッケル、コバルト、マンガンなどを使う三元系リチウムイオン電池(日本では主流)を、LFP(リン酸、鉄、リチウム)電池が逆転しました。しかし、それぞれに長所があり、前者は高級車や長距離走行用に、後者は、エネルギー密度は劣るが、コストが安く寿命が長いため、通勤用など小型EVを中心に使われるようになりました。そのLFP電池でも各社はしのぎを削っています。中国政府はまた、次世代電池「全個体電池」(燃えにくく、走行距離が増え、小型化が可能)の開発に注力、2025~2030年の実用化を目指して、2024年5月に開発費約60億元の投入を示唆しています。


 車載電池に関する問題は材料。リチウム、コバルト、黒鉛は加工精製の65%、76%、100%を中国が占め、2023年には黒鉛を輸出許可制にするなど締め付けを強化しており、日欧は協力して資源の再利用を推進しています。充電も大きなテーマで、EVの普及は進んでもインフラが追い付かず、EV普及のネックにも。政府は2024年初めに<2024年高速道路サービスエリア充電設備の建設を加速させる通知>を出し、一方、ファーウエイはBYDなどと超急速充電器普及連盟を発足させ、数分での充電を目指しています。車載電池大手の国軒も短時間で充電できる電池を開発、開発競争が熱を帯びてきました。


 自動運転技術でも中国は先行しています。2023年末の統計では、自動運転で人の眼の役割を果たすライダー技術に関する2000年以降の特許数で、中国は日米両国を大きく上回り、企業別でも、ボッシュ(独)、デンソー、ソニーに続き、中国勢のロボセンス、ヘサイテクノロジーがサムスン(韓)を抜いて食い込んでいます。しかも両者の技術力は高く、採用率が高いため、市場シェアは群を抜き、ボッシュは同分野から撤退を決め、日本企業も対抗できる状況ではありません。中国ではすでにタクシーの自動運転が実用化されており、湖北省武漢では百度がテスラの技術を利用して400台の自動運転タクシーを投入しています。今後提携関係がどう動くかは不明ですが、百度は2024年11月に香港でも試験走行を開始、一方、広州汽車は、大湾区などへの投入を視野に、自動運転技術を開発する子馬智行と自動運転タクシーの量産化で協業すると発表しました。  

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