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第百十八回 交通事故と道路交通安全法
中国の自動車保有台数は2002年に2141万台に達し、1986年の9.1倍にまで増えていま す。オートバイも含めたエンジン車両総数は1億台を突破しました。しかし、車の増加に道路整備や交通マナ−が追いつかず、交通事故もうなぎ上り、同年の発生件数は 773,000件、死亡者は109,000人(一日約300人)を数えました。
事故の主要な原因として挙げられるのが、スピ−ドの出しすぎ、運転手の過労、積載 オ−バ−など運転手側の違反で、事故の3分の2を占めますが、一方で通行人が交通ル −ルを守らない(横断歩道を使わずに勝手に横切ったり、赤信号を無視する)のも主 要原因の一つとして見逃せません。しかし、もっと根本的な問題があります。
例えば、高速道路の立ち入りがノ−チェックで、自転車、人、家畜の通行も自由、車 の逆走もありでは事故が起きないほうが不思議です。それに工事中でも標識が無く、 ちょっと気がつくのが遅ければすぐ"ドカン"。武漢では中心街の80,000個あまりのマ ンホ−ルのうち、年間約6000個の蓋が盗まれ、穴は開いたままで、よく人や自転車が 落っこちる。これらはいずれも行政側の対策の不備が原因で、重慶ではガ−ドレ−ル を波形にして耐久度を強化しただけで、崖や川への転落事故が大幅に減ったとのこと です。 2003年10月28日、<中華人民共和国道路交通安全法>が第10期全人代常務委員会第5回会議で採択され、2004年5月1日から施行されることになりました。主な内容をチェ ックして見ましょう(各項とも一部を抜粋要約)。
第28条:交通信号、標識、ラインを勝手に移動したり変えてはダメ。(そりゃそうだ!)
第67条:高速道路に最高時速70km以下のエンジン車両の通行を禁止する。(ヒツジ は?)
第75条:治療費未着を理由に負傷者を放置してはいけない。 (中国もやっと。)
第91条:酔っ払い運転−3〜6ヶ月の免停と2500〜2000元の罰金。15日以下の拘留。
飲酒運転 −1〜3ヶ月の免停と 200〜 500元の罰金。 (摘発をしっかり!)
特に注目されたのが第70条。軽微な事故で、事故原因について当事者同士の意見が一 致した場合、"私了"(示談)が認められました。公安側の負担が大幅に減るととも に、当事者側も"乱収費"から解放され、まさに画期的な措置と言えましょう。