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第1188回 中国経済振興政策あれこれ―その1-

(2025年9月25日)

  内需振興に躍起となっている中国。このところ、まさに「総力を挙げて」という形容がぴったり。既に紹介したように、2024年は買い替え需要の喚起に様々な手が講じられ、同年末の中央経済工作会議では「全方位的に内需を拡大する」ことが強調されて、その後「消費振興行動計画」が打ち出されました。その主な重点は何でしょうか。この点について、2025年5月22日の人民日報が、郭華麗中国マクロ経済研究院副院長の詳細な分析を掲載しています。まず、その論点を概括してみましょう。第一は消費の基本的潜在能力。2024年に中国のエンゲル係数は29.8%まで下がったが、ほぼ19%以下の先進国に比べれば、引き下げ余地は十分。その余力分を、現段階で国民の消費支出の46.1%(先進国は60%前後)を占める文化・教育・娯楽などのサービス消費に振り向ければ、消費回復の重要な手掛かりになる。


 第二は、社会構造の変化による潜在力向上。中国の最終消費率は先進国の65%に比べ、なお56.8%にとどまっている。中国の中間所得層は世界最大で、2035年には7億人に到達する。彼らはミドルレンジ以上の質の高い製品の消費者であり、今後、製品の質や性能が向上すれば、さらなる消費が見込める。第三は、地方都市や農村の消費潜在力向上。近年の農村の小売総額の上昇速度は都市部を0.9%上回っている。また、中・西部のそれは東部地区を、二・三線都市は一線都市を上回り、かつ年々加速している。


 第四は新たな技術・業態・モデル・消費シーンによる消費潜在力向上。先端科学技術の向上で、様々なスマート製品や家庭用ロボットの普及が進み、デジタル経済による新たなシーンとしてライブコマースとかバーチャル試着・メタバース消費(仮想現実・拡張現実の実現など)が出現、新業態・新モデルに基づく消費空間としては「夜間経済」や「首店経済」(新規旗艦店や初出店による消費シーン)が、販売形態としては「スマート物流+無人コンビニ」、シェア経済(シェア自転車、シェア充電宝など)などがお目見えした。加えて、文化と観光の融合型新シーンとしてテーマパークや地方の「特色街区」や「田園消費」も続々と誕生し、フィットネスなど健康消費も盛んになった。しかし、以上は全てポジティブ評価であり、反面それぞれが様々な問題を抱え、デッドロックに遭遇もしている。詳しくはまた次回に。  

 
 

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