トップ > 現代中国放大鏡
Last Update:
第十二回 海外旅行ブ−ム
庶民の所得の向上と積極的な内需拡大政策で、中国の観光業が急速な発展を遂げています。ここ数年、政府は春節、メ−デ−、国慶節に長期休暇を設けてレジャ−消費を後押しする一方、インチキ旅行社の摘発、トイレの改善、観光アイテムの多様化などに懸命に取り組んできました。おかげで、国内は空前の観光ブ−ム、その余勢を駆って2001年には海外旅行が俄然脚光を浴び始めました。
政府の公務出張以外の2000年の出国者数は311万人。そのうちビジネス関係15万4千人、海外就職3万9千人、出稼ぎ2万1千人、親族訪問59万3千人で、それぞれ前年に比べ大幅増となっています。97年以降、海外旅行用パスポ−トが1回限りから5年間有効に切り換えられ、手続きも簡素化されました。そのため、春節を海外にいる肉親と一緒に過ごそうという人が急増したのだろう、との分析もあります。予測では、2010年の海外旅行者数は5000万人を超えるだろうとのこと。
では、一体、海外観光旅行の値段はどうなっているのでしょうか。幾つか例を挙げてみましょう。
*シンガポ−ル 5日の旅 3380元
*マレ−シア 6日の旅 6380元
*日本 6日の旅 19000元 (東京−箱根−京都−奈良)
日本の旅はマレ−シアの3倍で一般庶民にはまだまだ高値の花。人気が出ているのがタイで、中国人観光客の数は年々増加し、1999年の統計では、日本人100万人、マレ−シア人80万人に次ぎ、77万5千人と堂々の第3位。2000年に江沢民主席が訪れたブ−ケット島では、2000年に入り、中国人観光客が7倍になったそうです。
ブ−ムを呼びそうな海外旅行ですが、ここでも悪徳商法が悩みの種。そこで政府は2001年3月から、旅行用外貨の取得は、政府の認定を受けた特定の旅行社に限る規則を実施し、更に旅行社には、国内旅行で8万元、国外旅行は16万元以上の旅行保険への加入を義務づけました。海外旅行の本格化に備え、今後、一層の環境整備が求められることになりそうです。