企業向け中国語研修をリードするGLOVA China

ビジネスコラム|現代中国放大鏡

トップ > 現代中国放大鏡

Last Update:

 第百二十回 東風モデル


2003年11月30日、北京で、人民日報と中国自動車報主催による<東風モデルと国有企業改革>と題した研究討論会が開催され、「東風と日産の合弁は、新しい資本形態、技術、管理モデル等の導入により国有企業の古い体質を打破し、新旧メカニズムの転換を果たし、かつ、製品構造の調整を実現した」として、東風の「協力競争、融合発展」戦略と再編の手法を高く評価しました。(同日付人民日報)
僅か7年前、東風は倒産に瀕した大型老朽国有企業でした。改革は、会社を部門別に分割して独立経営権を付与することから始まり、1998年、ホンダと合弁で東風ホンダエンジンを、2000年には台湾裕隆自動車と風神自動車を設立して順調に業績を伸ばし経 営を建て直しました。その後、国際協力を全面的に推進し、2001年、ブジョ−,シトロエン(PSA)と新しい神竜社を設立、2002年3月には江蘇省の悦達、韓国の現代等 と東風悦達起亜自動車を設立、そして同年9月、遂に日産と長期全面協力で合意に達し たのです。
2003年6月、東風自動車有限会社がスタ−ト、資本金は167億元、合弁の持ち株比率は 5:5で、トラック、バス、業務用軽自動車、乗用車など全車種を網羅した初めての中 外合弁企業となりました。新会社の名称に日産の文字は入れず、東風は全て固定資産 による出資で、業務用車両は東風ブランドのままです。7月には以前の東風社所属の 14の子会社で東風商用車(株)が設立されました。年生産能力30万台で、貨物旅客運送用車両、ジ—プ、各種専用車、更には車体、エンジン、主要部品などを網羅しています。11月、東風自動車は2004〜7年の中期事業計画を発表、「2007年には、販売台数、販売収入共に2003年の倍、62万台、800億元を達成し、営業純利益は販売収入の 10%を見込む」と発表しました。
"東風モデル"は投資面から見ると、中国側が全資産を投資し、外資はそれに見合った 資金を投入するというものです。特筆すべきは、この改革の中で、10万人の東風従業 員中7万人が合弁会社に引き継がれ、その他の人員に対しても、レイオフや勤続の中断といった事態に追い込むことなく、新事業の展開などに吸収したことでしょう。
今、最後の胸突き八丁に差し掛かっている中国国有企業改革の有力な手法として、"東風モデル"は注目され、また、更なる手法の登場も報じられています。

三瀦先生のコラム