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第1222回 環境法典制定の持つ意味-その1-
(2026年6月11日)
2026年3月の全人代で環境法典が採択されました。なぜ中国は環境法典を制定したのでしょうか。中国は1978年に始まった改革開放以来、とりわけ2010年代に環境保護法、大気汚染防治法、水汚染防治法、土壌汚染防治法、固体廃物汚染環境防治法、環境影響評価法、更に長江保護法、黄河保護法など環境関係の法律を次々に制定してきました。それら一つ一つは大きな成果として報じられましたが、結果として、各法律間で一部整合性を欠き、不具合さえ生まれました。条文の重複も垣間見られました。そこで、民法典の編纂が達成されて後、次は生態文明建設を支える環境法典を作ろう、という機運が高まったのです。最初の節目は2017年に開催された第19回党大会で、「今世紀末中庸までに美しい中国を建設しよう」というスローガンが掲げられ、「環境保護」から「生態文明」へと国家戦略が思想的大転換を遂げ、人と自然が調和した共生や、生態文明体制改革が体系化されていきました。次なる段階は2018年の憲法改正で、生態文明が組み込まれ、これが長江保護法 黄河保護法 環境法典などへと具体化されていったのです。その後、習近平が2020年の第75回国際連合総会で二酸化炭素排出削減問題について、2030年前後のピークアウト、2060年のカーボンニュートラル実現を表明したことで環境政策は戦略的大転換を迎え、2021年からの第14次五カ年計画にも組み込まれました。これと歩調を合わせるように、EV、蓄電池・太陽光・風力・送電網などが国の戦略産業として位置づけられるようになりました。こうした経過を経て、2023年以降、環境法典制定へ向けた動きが加速し始めたのです。
2023年9月、第14期全人代常務委員会立法計画で、生態環境法典編纂が重点立法任務に位置づけられ、全人代常務委員会法制工作委員会を中心に、北京大学、中国政法大学、中国人民大学などから研究者を集めて本格的な法典化作業が始まりました。そこでまず「環境保護法を中心に再編する方式」を採るか、「民法典方式(総則+各編)」の「総則+各編」方式を採るか、が議論され、最終的には民法典の構造が採用されました。翌2024年には汚染防止法、自然保護法、気候変動法の構成など法典の基本構造がほぼ固まりました。2025年から全人大常委会で草案審議が開始され、「生態文明思想」を法典の基本理念として明文化する方針が確定、ようやく2026年春の制定に漕ぎつけたのです。詳しい説明はまた次回に。

